岩手県宮古市新しい遊覧船、「宮古うみねこ丸」が7月17日で就航1年を迎えます。市民の思いを乗せて走る遊覧船と、安全運航を支える関係者の思いを取材しました。


 ウミネコとの触れ合いに、船から眺める浄土ヶ浜。宮古の海に遊覧船が戻って1年が経ちました。
 東日本大震災の被害を免れ、58年続いた前身の遊覧船「第16陸中丸」が、老朽化や利用客の減少で惜しまれながらも引退しておよそ1年半。

 再開を望む多くの声を受け誕生したのが、「宮古うみねこ丸」です。
 宮古市が実施したクラウドファンディングに全国から多くの支援が集まりました。
 新たな船の運航を任されたのは、宮古市で生まれ育ち、岩手県北自動車に35年勤める佐々木隆文さんです。宮古営業所長としての肩書に加え、遊覧船事業の責任者となりました。


(岩手県北バス 佐々木隆文 宮古遊覧船事業部長)
「バスの方は何十年と携わっていますが、船に関するところは一から勉強、不安はありましたけど、ずっと宮古にいる関係で、観光団体の方が積極的に企画を一緒にやってくださったり、宿泊業者は宿泊プランを組んでくださったり、地域一体となって協力いただいたと思っています」

 「宮古うみねこ丸」の乗船客数は、就航から4か月で2万人に達し、丸1年を前にした6月末には、年間目標である3万5000人を達成しました。

(佐々木隆文 宮古遊覧船事業部長)
「最近だと将棋の藤井聡太さんとかもご乗船いただいたり、何年ぶりに宮古に来た方で、前の『陸中丸』の時とまた違う景色が見えたというお声を頂いて嬉しかった」

 観光客が減る冬の時期は地域の事業者を巻き込んで様々なイベント船を企画します。遊覧船と共に宮古を好きになってもらうための工夫を凝らしてきました。
 そんな宮古の遊覧船が全国に誇るもの。それは、流紋岩とナンブアカマツが織りなす「浄土ヶ浜」の美しさです。

(佐々木隆文 宮古遊覧船事業部長)
「震災で壊れたのは人工のもの、工事をやって建てたもの。浄土ヶ浜の景色は何も変わらない。変わらぬ観光地があってほっとする」


 震災前と変わらない景色を見せてくれる浄土ヶ浜を、海の上から間近でみられるのが「宮古うみねこ丸」の大きな魅力です。

(佐々木隆文 宮古遊覧船事業部長)
「やっぱりこの裏の方がなかなか見えないので」