遊覧船を支えるのは佐々木さんだけではありません。前身の「陸中丸」から船のガイドを務めてきた金沢明美さんは、20年以上、宮古の海を案内してきました。

(マリンガイド 金沢明美さん)
「このまま私ここでご案内していいのかなという、少しの葛藤もあったんですけど、でもやっぱりこの素晴らしい景色を多くの方々にご案内するのは私かなという所も少しはある」
舵を取るのは坂本繁行船長です。東日本大震災の津波が襲った時、陸中丸を沖に出して守りました。そんな坂本船長が今も変わらず大事にしていることは安全で快適な運航です。

(宮古うみねこ丸 坂本繁行船長)
「景色はその通りですから、私たちは安全に運航するのが目的ですから、お客さん酔わないように走るだけで、それだけですよ」
船の安全確認と係船作業をするのは、甲板員の畠山勝さん。

(甲板員 畠山勝さん)
「前の陸中丸がなくなって寂しかったんで、やっぱり(宮古うみねこ丸は)うれしいですね」
東日本大震災が発生した直後、遊覧船は運休となりました。それでも震災から4か月後には運航再開。震災以降はほとんどの年で浄土ヶ浜の観光客数が宮古市全体の観光客数の半数以上を占めてきたことが示すように、浄土ヶ浜を巡る遊覧船が観光の活性化に貢献してきました。
(乗船客)
「楽しかった。(ウミネコは)怖かった」
「震災からずっと動けなかった船だったようなので、嬉しいですよね、こうやって動いているのが」
「三陸のきれいなところっていうのは船に乗って、外から眺める方が美しさ堪能できるような気がしますね」
「揺れながら、風に吹かれながらっていうのが素敵ですよね」
宮古市民だけでなく、県内外の人たちから愛されてきた遊覧船。震災前から宮古の海の観光を支えてきた人たちにとって「宮古うみねこ丸」とは。
(マリンガイド 金沢明美さん)
「(宮古うみねこ丸は)私のね、分身っていう感じですよね」
(佐々木隆文 宮古遊覧船事業部長)
「まぁ家族のようなものじゃないですか。朝も気になりますし、今日は波がどうかな、とか、寒い時でも一生懸命動いてくれてますから、本当に感謝です。」

夢と希望を乗せた「宮古うみねこ丸」は、この海で新たな歴史を刻み続けます。