この日、最後に訪れたのは、指田さんが岩手で常宿にしている民宿前川です。
民宿を営む前川昭七さん、良子さんの夫婦からも当時の話を改めて聞きました。
前川さんは震災で娘を亡くし、家や船も流されました。

指田さんは2人の言葉一つ一つをメモ帳に書き留めていきます。

(指田和さん)
「飾らない言葉なんだけど、漁師は海でしか生きていけないという言葉って、何度聞いても胸にじんと来るというか。自分が生きてきた仕事や暮らしや環境をすごく大事にしている今まで私も全国あちこちを取材してきてますけど、全身でそういうのを感じるのは前川さんが一番だと思います。それくらい私にとって大事な方です」

今回の作品では、絵本と違って挿絵を使わないため、シンプルでより心に響く言葉が求められます。

(指田和さん)
「そうやって長く時間を過ごす間にたまってきたものを、それは私の宝だと思うし、私だけの中でいい言葉を持っていても、やっぱり多くの人に知ってもらいたいので、皆さんからお聞きした言葉を選りすぐってお届けしたいなと思っています」

地域に寄り添った取材で貴重な言葉を拾い集める指田さん。1年後の本の出版に向けて今後も釜石に通い続けます。