豪雪地 安塚町の挑戦『雪国売ります』

~サヨウナラ後楽園球場 スノーフェスティバル~

1987年(昭和62)年2月に当時の新潟県東頸城郡安塚町(現在の上越市安塚区)が、かつての後楽園球場(東京都)で開いた『雪まつり』を振り返ります。
悩ましい豪雪を逆手に取り、行政と町民とが一体となって“雪国”を売り込んだこのイベントは「第3回 日本イベント大賞」を受賞し、全国の注目を集めました。
(前篇中篇からのつづき)

豪雪地からホンモノの雪を持ち込んで実施する『雪まつり』。
安塚町ではイベント後のことを考え、雪を溶かすことばかりを考えていましたが、平年より14日も早く「春一番」が吹いた東京の最高気温が20.8℃になったという、これはとんだハプニングで、急遽ダンプカー300台分の雪を追加することが決まりました。

【当時の総務課長 矢野学さん】
「金も心配だが、ここまで来たら成功させないわけにはいかない」
ダンプカーだけでは足りず、大型トラックも動員されたのです。

後楽園『雪まつり』開幕

1987年2月13日、スノーフェスティバルがついにオープンしました。
家族連れや若者などが押しかけ、長蛇の列ができました。

ホンモノの雪を産地直送した奇抜なアイデアと、都会の人間の好奇心も手伝って、イベントは次第に盛り上がっていきます。

季節感を失いがちな都会の子どもたちは、雪の感触を体いっぱいに受け止めていました。

邪魔者と嫌っていたいつもの雪も、こうなれば捨てたものではありませんでした。
異常乾燥が続く東京で、ここだけがオアシスのように見えました。