みなさんは『ハンドパン』という楽器をご存じでしょうか。ドーム状に加工された金属製の打楽器で、美しい音色を奏でます。
注目したのは、金属加工の街、新潟県燕市でそのハンドパンの製作に取り組む一人の男性です。ハンドパン製作を通して男性が実現したいこととは?

出店が立ち並び、賑わう燕市の商店街のお祭り。子どもたちがはしゃぐ声に混ざり柔らかなメロディーが流れてきます。

演奏しているのは時田清正さん24歳です。
美しい音色を奏でていたのは『ハンドパン』。ドーム状の金属製の打楽器で大きさは横幅が50センチ、高さ30センチほど。指で叩くことで空洞になっている内部が反響し深みのある音色を奏でます。

時田さんは日本にわずか4人しかいないとされるハンドパンを製作するハンドパンビルダーです。この日は、時田さんが製作したハンドパンの体験ブースを出店していました。

【時田清正さん】「良かったら叩いてみますか?」

【来場者】「やってみたいです。いいですか?」

【時田清正さん】「もちろん」

来場した2人は初めて手にする珍しい楽器に興味津々です。

【時田清正さん】「ハンドパンっていう楽器で2001年にスイスで生まれた楽器なんです」

【体験者】「どこ叩いてもいい?」

【時田さん】「どこ叩いてもいいです。楽譜のない楽器なので。基本的には自由な楽器ですね」

初めてハンドパンに触れたという2人組でしたが…
いつの間にか時田さんとセッションが始まります。

【体験者】「すごい楽しい!夢中になるね」「延々とやれるね」「すごーい!」

どうやら、2人はさっそくハンドパンの音色に魅了されたようです。

時田さんは茨城県の出身。高校生の頃にハンドパンと出会いその音色に魅了されました。時田さんが目指すのは世界一のハンドパンビルダーです。

【時田さん】「金属加工ですごく有名な街燕三条があると聞いていたので、ハンドパンを作りたいと思ったときにそこなら作れるんじゃないかと思って」

4年前に大きな夢を抱いて新潟県にやってきた時田さん。現在は燕市に住み燕市にある工房で、連日金属加工の技術を駆使しながらハンドパンを製作しています。

空気圧で高速稼働する特殊なハンマーで何度も何度も金属板を叩きハンドパンの原型を作っていきます。

【時田さん】「ここが一番重要な工程で、ここで音が決まるので。音というか音の質が決まるような感じですね」

ハンドパンの製作には下焼きや研磨など16の工程があり、1台の製作におよそ1か月かかります。時田さんはこれまでにおよそ100台を製作しました。

【時田さん】「この辺輪郭が薄いのでもうちょっと出してもいいかな」

じっと目を凝らし素人目には分からないわずかな変化も見逃しません。

ハンドパンは精細な楽器。綺麗な音を生み出すために表面を叩きながら微調整を繰り返します。

【渡邉和也さん】「俺持ってて、おまえそれを(ねじ)締める」