暮らす場所に関係なく、必要な人に必要な医療が行き届くように…
5年後、10年後の地域医療を維持するために…。
新潟県歯科医師会が企画した学生の『見学ツアー』は、これからを担う若い人材が「へき地にも目を向けてくれるきっかけになれば」という切なる思いが込められたものでした。

【新潟大学歯学部5年 栗田大地さん】
「杉田先生の患者さんと接する“姿勢”が大学では得られないものだったので、患者との距離の近さはぜひ見習いたいなと感じた。都会じゃなく、こういう地域で患者さんに寄り添える治療もいいなと感じた」
【日本歯科大学 新潟生命歯学部5年 上津菜々子さん】
「視野が広がったなと思う。山の上で、杉田先生のように診療なさっているというのは初めて見たことだったので、勉強にもなるし、こういう歯科の在り方もあるんだなと」

上越市内の自宅から片道30分ほどかけて牧区の診療所に通勤している杉田医師。
6歳の娘を育てながら、仕事と家庭を両立する日々を送っています。
【杉田佳織医師】
― 地域に先生一人ですが?
「診療所にしか来られないという患者さんもいるので、その人のためにできることをしなければいけないなと思う」

人と人とのつながりが深い“地域での医療”に、やりがいを感じているそうです。
【77歳の患者】
「へき地の上に、一人暮らしの方がすごく多いですから。先生は家庭訪問(在宅医療)もしてくれるでしょ。だから皆さんここらへんの言葉で『おら、困ったって先生来てもらえるすけいいよ』って合言葉になっているから、本当になくてはならない存在です」
暮らす場所に関係なく、必要な人に必要な医療が行き届くように…
新潟県内各地で過疎化や高齢化が課題となる中、地域に根差した医師を確保するために関係者の模索が続いています。

保育園や小・中学校、高校などで定期的な歯科検診がありますが、もしも将来、地域の歯医者がいなくなる…という状況になると、そうした医療も提供するのが難しくなる恐れがあると関係者は話しています。
市街地だけに偏らず、へき地の医療をどう維持していくか。
若手の歯科医師や学生にとっては、今回のツアーのように実際に現地を目にしてみることで、新たに気付くこともあるのかもしれません。