初の原告側“本人尋問”で皆川さんは…
提訴からおよそ9年がたった2022年12月。初めて原告側の本人尋問が開かれ、皆川さんが自ら証言台で思いをぶつけました。
「国と昭和電工が憎い。公正で公平な判決をお願いしたい」
皆川栄一さん
「家族の内情なんかも本当はしゃべりたくないこともありましたけど、でもやはりそれも喋るのも裁判だということで、私はこの裁判を、家族を犠牲にしてまでも闘ってきたんだってことを訴えました」

“認定基準”とは 新潟水俣病をめぐる問題
新潟水俣病をめぐる問題の一つが“認定基準”です。
医師や弁護士らで構成される認定審査会が公害健康被害補償法に基づいて新潟水俣病の患者かどうか判断します。
その際の基準はこうです。
まず、水銀を摂取したと証明すること。それには客観的資料があることや、家族の中に認定患者と漁業組合員がいることが条件となります。
さらに水俣病の特徴的な症状が『複数あること』が求められます。

県は1965年から67年にかけて川魚の摂取状況や毛髪の水銀値を調べる『住民健康調査』を実施しました。しかし当時、対象となったのは阿賀野川の下流地域に住む住民で、皆川さんら上流や中流に住んでいた人たちは調査されませんでした。
健康調査の対象でなかった人たちは水銀の暴露を証明できる材料はなく、認定のハードルが高いのが現実です。

この認定基準について、第5次訴訟で弁護団の事務局長を務める味岡申宰弁護士は、こう指摘します。
第5次訴訟 弁護団事務局長 味岡申宰 弁護士
「(認定基準が)救済制度ではなくて患者切り捨ての制度になっているわけですね」