新潟は現在『コメどころ』として、名実ともに全国トップのコメの産地として知られています。

ただ意外にも、今から80年ほど前の昭和初期頃の新潟県産米は味が良いとは言えず、鳥すらまたいで通るという意味の「鳥またぎ米」と揶揄されるほどでした。

現在のように食味を重視した品種が少なかったことに加え、収穫期の長雨による乾燥不足や、稲穂の段階で芽が出てしまう「穂発芽(ほはつが)」が発生するなど、品質を安定させることが難しかったためと言われています。

その評価を覆したのが、昭和31年=1956年に誕生した「コシヒカリ」でした。

【百貨店店員】
「非常に粘り気があっていいコメです。大変ありがたいことです、こういう良いコメを扱えることがね」

品種登録の前は全国各地で試験栽培されていましたが、収穫前に倒れやすい欠点があり、採用したのは新潟県と千葉県のみ。
味は問題なかったのですが、作りづらかったのです。