妊娠がわかるも募る不安「迷惑かけちゃうな…」

現役時代からライセンスを取得するなど、指導者を目指した西東友里さんは2016年に引退。その後はアルビレックス新潟レディースの育成組織でコーチや監督を務めました。

子どもたちと向き合うことで、現役時代とは違った『伝える難しさ』を痛感したという西東さんは女子プロサッカーリーグ『WEリーグ』がスタートする2021年に、トップチームのコーチへの就任が決まりました。ほどなくして、西東さんは妊娠がわかります。嬉しさと同時に、不安も募りました。

「こういう仕事をしていると抜けづらいというか、動けなくなることで『迷惑かけちゃうな』という感覚、申し訳なさがありました」

アルビレックス新潟レディースの山本英明社長は、西東さんから妊娠したことを告げられた時のことをよく覚えています。
「不安を抱えながら…という感じで話してくれましたね。それでも『子育てをしながら指導者として新潟に貢献してきたい』という思いを伝えてくれたので、クラブ側としては、環境を整えていこうという話になりました」

その後、西東さんはクラブスタッフとしてはWEリーグ初となる産休・育休を取得。夫の秀明さん(35)と家事や育児を協力しながら、息子・里都(りつ)くんの出産から5か月後にコーチとして復帰しました。

「周りのサポートのおかげというのもありますし、ここまで長くサッカーをやってきて、子どもが生まれたから自分の夢を諦めますという風にはなりませんでした。私がいなくなったからといってクラブがなくなるわけでもないし、チームが崩壊するわけでもないと自分に言い聞かせながら出産から復帰するまで考えていました」