囃子の音色が響く中でむつ市大畑町に出陣したこちらの山車。実は地元の中学生が2か月かけて初めて制作したものです。全員が山車づくりはほぼ未経験、そんな彼らがひと夏をかけて制作したわけとは。

にぎやかな囃子の音色と元気な掛け声とともに現れた山車。若者たちが雨を吹き飛ばす晴れ晴れとした顔つきで運行する姿を住民たちが熱心に見入っていました。

※住民は「何とも言えない。よくやったと思います」「子どもたちの力強さを感じたこの町に対する気持ちがよかったなと思う」

この山車を制作したのは根戸内豪(ねとない・たける)さんたち大畑中学校の3年生8人です。中心メンバーの根戸内さんはもともと小学校の夏休みの工作の課題で、小さな山車(やま)を作るほど大のお祭り好き。そのことが山車(やま)制作に挑戦するきっかけになりました。

※大畑中学校3年 根戸内豪さん「いま、伝統芸能とかを受け継ぐ人が少ない中で、自分たちは伝統を守っていって後世に伝えていこうという思いで作りました。自分たちの先輩が山車を作っていて、それを見て自分たちもやり始めました」

全員が山車づくりの経験はありませんでしたが、「大畑まつり」で運行される山車を参考に制作を開始。動画配信サイトで電動工具の使い方を学び、木材の組み立て方は知り合いの大工から指導を受け、2か月ほどで完成させました。そして迎えたおとといの運行ー。運行には大畑町の正津川(しょうづがわ)地区の子どもたちも参加しました。地域の人たちが沿道で見守るなか、一から手作りした山車は町内をゆっくりと練り歩きました。

運行をやり遂げた根戸内さんたちは達成感を抱くとともにある思いを強くします。

※大畑中学校3年 小助川京太郎(こすけがわ・けいたろう)さん「楽しい気持ちでいっぱいで、伝統をこれからも引き継いでいければと思います」

※根戸内豪さん「地域の方に見てもらえてうれしかったです。来年もできたら運行できればいいなと思います」

地域の伝統を守る中学生たちの挑戦は始まったばかりです。