1月下旬に青森県内を襲った寒波。まだまだ暖房設備が手放せず光熱費が上がる中、電気代はさらに高騰し、私たちの日常の悩みの種となっています。また、企業の経営にも負担がのしかかっています。その現状を取材しました。
青森市のオール電化住宅に住む熊谷さんの自宅です。寒さ厳しい日が続くなか、暖房器具をフル稼働させて家族6人で暮らしています。こちらの住宅の2021年12月の電気代は4万4千円でしたが、2022年12月は7万3千円あまりに跳ねあがり、2023年1月はついに8万円台になりました。




※オール電化住宅に住む青森市民
「いやもうびっくりしてですね、一応こんなに上がるのかと。だいたい一万二万は上がるかなとニュースを聞いてわかっていたけど」

高騰の大きな要因の一つは、燃料費の変動にあわせて単価が変わる燃料費調整額制度です。この調整制度にはもともと、料金の上限がありましたが、こちらの住宅の料金プランは、その上限が2022年廃止。燃料の高騰は、家計の負担増加に直結します。さらに、メインの暖房器具である蓄熱暖房機は夜間に熱をためますが、今後その夜間の単価も値上がりすることになります。設定温度を下げるなど節電に励んでいますが、焼け石に水という状況です。


※オール電化住宅に住む青森市民
「何かしら根本的なところから扱い方を変えていかないと、支払い自体が本当にできなくなるようになるまで値段が上がることも想定していた。食費も含めていろいろなことを我慢しながら節約しながらやっていく必要があるのかと思っている」
こうした電気代の高騰は、企業にはさらに重くのしかかります。
青森市の公衆浴場・天然温泉かっぱのゆ(新電力と契約中)です。1月分の請求書は120万円を超えました。前年比で50万円以上のアップです。



※天然温泉かっぱのゆ 鈴木亮店長
「これまでにここまであがったことはないですね。もうなんとも笑いが出てくる感じですかね」
かっぱのゆは、休憩所の電気を消すなど節電を続け、電気使用量は、去年から5パーセントほど削減しました。ただ、温泉水のポンプ設備など24時間稼働させなければいけない設備もあり、これ以上の節電には限界があります。こうした電気代を始めとした物価の高騰を受け、かっぱのゆは2月から入浴料を30円値上げして450円にしましたが、厳しい経営環境が続きます。

※かっぱのゆ 鈴木亮店長
「今は耐えるしかないのかな。(客数が増え)売上も多少上がっているとは思うが、それ以上に光熱費とか、かかってくるものが大きすぎてあまり効果は期待できないのかなってところですかね」
紙と灯りの芸術と称される青森ねぶたを常設展示する青森市のワ・ラッセ。こちらは、1月の電気料金は例年と比べて100万円近く上がり、200万円を超えました。電気の使用量は去年より抑えていますが、負担は増すばかりです。


ねぶたの家ワ・ラッセ 関一生総務部長
「せっかくコロナが落ち着いてきたところに、そういったことで電気料金や値上がりといったことで生活に直結しているので、やはり一番先に観光に影響が出るかと懸念している」

こうしたなか、東北電力は2022年11月に家庭向けの電気料金の値上げを国に申請しました。その上昇幅は、一般家庭の多くが契約する規制部門のモデルで月に2717円、率にして31.72%です。認可されれば、4月分から値上げとなります。
※東北電力青森支店 沼畑秀樹支店長
「お客様にさらなるご負担をおかけするというところを非常に心苦しく思っている。さらなる経営効率化を務めるとともにご家庭で取り組める節電方法のご紹介を通じてお客様のご負担軽減をサポートしてまいりたい」


影響は多岐に広がるため、政府は激変緩和対策を打ち出していて、2月請求分の料金からは補助をすることになっています。それでも、私たちの家計、企業の経営にとってはまだ負担は重く、厳しい状況が続くことは変わりそうにありません。

※市川キャスター
こちらに、いまの時期かかせない暖房器具、1時間あたりの電気代をまとめました。去年2022年11月時点の調査で、設定を最大にしたとき、もっとも電気代がかかるのはエアコンで52円ほど。ついで、電気ストーブが32円、ホットカーペットは10円、コタツは4.9円となりました。

この暖房器具、エアコンは部屋全体を暖められる一方で電気代が高い。コタツは電気代は安いけど部屋全体は暖められないなどそれぞれメリット・デメリットがあります。こうした特徴を踏まえて、用途にあわせて使い分けることが電気代を抑えるためにまずできることになります。ただ、電気代の高騰にあわせて賃金が上昇しなければ、私たちの暮らしは厳しさを増すばかりとなることは間違いありません。