弘前市に、2022年12月ある食堂がオープンしました。提供しているのは、3人の子どもを育てる女性が陸上競技を続ける子どもたちのために考えた特別なメニューです。

こちらの店は、弘前市松森町にある「たねゆい食堂」です。2022年12月にオープンしました。店主の種澤佑依さんは、3人の子どもを育てるお母さんでもあります。夫で美容師の佑貴さんも仕事の合間を縫って店を訪れ、2人で協力し合って切り盛りしています。

たねゆい食堂店主 種澤佑依さん

提供しているのはある特別なメニュー。この日は、週替わりのメイン料理がシソを巻いた鶏つくね。それに、津軽の郷土料理「けの汁」と栄養満点の副菜が並び、彩り豊かに。一番人気の「アスリート定食」です。

どのお客さんも写真に収めてから食べ始めます。

※お客さん
「ちょうど良いあんばいで若い人が作ったとは思えない。おふくろ感があっておいしかった。若い人はしょっぱいの好きだけど、こうやってバランス良く食べれてしょっぱくもないのは(良い)」

評判なのは、見た目や味だけではありません。例えば「から揚げ」は、米粉とこめ油を使って脂質を抑え、食事に気を遣う人を思いやる調理を心がけています。まさにそれが、3児の母である種澤さんが店をオープンさせた“きっかけ”でした。


※たねゆい食堂 種澤佑依店主
「娘と息子が陸上を始めたので、私もスポーツフードに興味をもって店を持とうという目標や夢ができたので、2人のおかげだと思っている。」

9年前、陸上競技を始めた当時、小学生の子どもたちを支えたいと種澤さんは食材の栄養素などを独学で勉強しました。しかし、長女のひまりさんが中学生になって不調が続くと逆効果となった時期もあったといいます。

※たねゆい食堂 種澤佑依店主
「自分にとって走ることが一番得意で自信もって過ごしてたので、自分にはこれがあるのがなくなっちゃったので、本当に落ち込んでその食事すらプレッシャーになっている時期もあって。」

それでも種澤さんは食事で子どもたちを支え続け、おととし2021年、ひまりさんは弘前市のマラソンチームに所属。早朝から市内をランニングするなど走る勇気と笑顔を取り戻し、中学3年生になりました。

マラソンチーム


※たねゆい食堂 種澤佑依店主
「そういう時こそバランスが整った食事をとって、心と体に栄養が届くように心を込めて食事を作っていきたい」

店を訪れるお客さんは食事だけではなく、体と心を気遣う種澤さんの人柄にも魅力を感じています。

※お客さん
「いつ会っても変わらない穏やかな方なので、また会いたいなと思うような存在。」

こうして積み重ねた日々は種澤さんの自信につながり、子育てと仕事を両立していく力の源になっています。

※たねゆい食堂 種澤佑依店主
「調子よい時は皆さん楽しいと思いますが、元気がなくなった時もお店に来てもらって、バランスのとれた食事をとって肩の力をおろしてゆっくり休んで、また頑張ろうと思ってもらえれば。」


※キャスター
種澤さんのアスリート定食、食べてみたくなりましたね。取材した記者に種澤さんは、2026年に青森県で開催予定の国民スポーツ大会に向けて選手たちを元気にできるように食事の面で連携したいと話し、意欲を見せていたそうです。スポーツ選手にとって、家族や仲間といった応援してくれる人の存在は大きな支えになりますよね。「たねゆい食堂」弘前市松森町48-1 
営業時間11:30~17:00 日曜・月曜日定休