「牧野博士に導かれるように」
2022年2月に発売となったマキノジン。その開発段階で、いくつもの不思議な縁に導かれていた。
クラフトジンを造るのにまず必要だったのが「蒸留器」。それが運よく、ベースとなる焼酎を手がける司牡丹酒造の蔵で、10年以上眠っている蒸留器があり、使わせてもらうことになった。
長い期間使用していなかった蒸留器を、関係者は愛情を込めて「ポンコツ蒸留器」と呼んでいる。この蒸留器は12種類のボタニカルからなる見事な香りを引き出し、ポンコツならぬ活躍を見せた。塩田さんが司牡丹酒造の焼酎をベースに選ばなければ、出会えていなかったかもしれない。

この場所から「セカイヘイクヨ」博士生家との縁
更に、その蒸留器があった場所は、牧野博士の生家の酒蔵跡だった。牧野博士は1862年、佐川町の「岸屋」という造り酒屋の家に生まれたが、明治中頃に岸屋は人手に渡り、最終的に譲り受けたのが司牡丹酒造だったのだ。
これには塩田さんもびっくり。その後、この場所は「マキノ蒸溜所」と名付けられ、看板には「マキノジンを世界へ」という、塩田さんの思いを表した文字も刻まれている。


「まるで牧野博士がこの場所に導いてくれたかのよう」塩田さん始め、開発に携わった人たちは、不思議な縁を感じていた。
初蒸留の日、蒸溜所にひらひらとチョウが舞い降りてきた。誰もが、そのチョウの姿に、牧野博士を重ねていた。
だが、さらに大きなミラクルが、塩田さんたちの耳に届くことになる。