金融緩和「続けた場合」「やめた場合」それぞれどんな影響が?
―――金融緩和を続けるべきか、やめるべきか。比べてみるとどうなのでしょうか?「なんで金融緩和をやっていたかというと、いわゆるアベノミクスですよね。とにかく金融緩和をすれば、金利を下げれば円安になるでしょ。そうすると輸出にはものすごく利益があるわけですよ。例えば自動車産業だったりすると、円安になると海外でこれが安くなるので、それによって日本の経済を良くするということをしてきたんですね。これまでは結構良かったんですけど、金融緩和を続けると、今後は外国との金利にさらに差が出てくるということになると、みんな『高金利のドルの方が得だ』と円を売る動き、円安になる。輸入品がどんどん値上がりをする。つまり、これまでアベノミクスはそれなりの効果があって良かったんですよね。でもこれだけの差がついてしまうと円安になり、輸出にはいいんですけど輸入品がみんな値上がりをする。石油も買っているわけでしょ。石油の価格も円安ですから高くなるわけですよね。そうするとありとあらゆるものが値上がりすることになっていく。プラスチック製品は全部これ石油製品ですから、私たちの身の回りのプラスチック製品もみんな値上がりしてしまう。でも、じゃあ金融緩和をやめたらどうなるのか。今、景気を良くしようとして金融緩和をしているわけですから、逆に金融緩和をやめちゃうと景気がまだまだ当分良くならないってことになる。さらに、結局、金融緩和をやめるということは金利を上げるということですよね。そうすると日本は国債を発行してますよね。国の借金ですよね。今はこれは非常に低い金利で国債が発行できているんですけど、金利が上がるということは、日本が国債を発行するときの利子が、返済額が増えてしまう。ということは新たな国債を発行しようとしても『金利が高いよね。借金返済するときにはちょっとこれじゃできないよね』ということになり、これまで大量の国債を発行しているわけですけれども、新たに国債が発行できなくなると財政状態が大変な状態になってしまうというわけで、国の財政が破綻っていうのはちょっと大げさですけど、国の財政がかなり厳しくなる危険性があるってことですよね」
―――国債って日本銀行もたくさん持っていますよね。金利が上がると、日本銀行としてはたくさん持っている国債をどう考えることになるのでしょうか?
「経済学的にちょっとややこしいんですけど、金利が上がると、今持っている過去に発行した国債の価値が下がるんですよ。これちょっと難しいかもしれませんよね。例えば、5年後に100万円で戻ってきますよという国債を98万円で買っていれば、2万円部分が利息になりますよね。ところが金利が上がるってどういうことかというと、例えば97万円で出すと3万円の利息がつきますよね。つまり金利が上がるっていうことは、現在の国債の価格が98万円じゃなくて97万円になるってことですね。つまり今、日銀がたくさん国債を持っているんですけど、持っている国債の価値がどんどん下がるんですよ。となると、日銀がこれから損害が出るかもしれない。日銀に損害が出るってどういうことって思うかもしれませんけど、日銀って利益が上がればそれを国に納めているんですよ。要するに国の財政状態が潤うんですね。ところが日銀がそれだけの利益が出ない、損害が出ると、国に納めることができない。国の財政状態がさらに悪くなるし、日銀がどうも損害が出ているらしいということになると、日銀が発行している商品の評判が落ちるわけですね。日銀が発行している商品はお金です。つまり日本のお金の価値が下がるかもしれない。一段と円安が進んでしまうかもしれないというわけで、実は日銀にも大きな影響があるということなんですね」

















