「練習量だけでも勝たないと」


川野は50キロ競歩の日本記録保持者でありながら、20キロのタイムも日本歴代3位。そのスピードを生かし、東京五輪では、体調不良に襲われながらも日本人最高となる6位入賞を果たした。

川野将虎
他の選手にはないスピードを持っているのでそこを世界陸上までに強化して戦える準備をしていきたい

同い年の川野と池田は東洋大から同じ実業団の名門・旭化成へと入社。専門とする種目は違うものの、良きライバルとして切磋琢磨してきた。


前回の世界陸上、池田が日の丸をつけて戦う中、出場が叶わなかった川野。静かに闘志を燃やしていた。

川野将虎
スピードは池田がすごいものを持っているので練習量だけでも池田に勝たないと上にはいけないと思っている

その練習が実を結ぶ。世界陸上の1か月後に行われたレースで川野は50キロ競歩の日本記録を樹立。池田よりひと足先に東京五輪出場を決める。

池田よりも先に東京五輪出場を決めた川野=2018年取材


この活躍に今度は池田が奮起。川野のレースから刺激を受けたと最後の東京五輪選考レースで優勝。2人揃って夢舞台への切符を手にした。

池田向希
自分に足りなかったものが川野にはあった。いままで取り入れてこなかった練習も取り入れて力がつけられた。川野には本当に感謝している

池田と川野、2人のライバル物語は8年前までさかのぼる。