歪みに強く、薄くて軽い…設置場所も選ばない「極薄の太陽電池」

 こうした状況の打開を期待されている太陽電池があります。その名は「ペロブスカイト太陽電池」。軽量で設置場所を選ばないため、自然や周辺環境への負担が大きいメガソーラーは不要。ビルの壁面やトラックの荷台、ブラインドなど様々な場所で設置・発電が期待されています。
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 従来の太陽電池は割れやすいシリコンウエハを覆うため重い強化ガラスが必要ですが、ペロブスカイトは不要です。極薄のフィルムに発電層を塗り、結晶化して作ることができます。歪みに強く、薄くて軽いのが最大のメリットです。
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 国内で開発をリードしているのは大阪・島本町で研究を行う「積水化学工業」です。

 (積水化学工業 森田健晴さん)「(Q曇っていても発電できている?)はい、シリコン系よりは発電はしやすいですね」

 弱い光でも発電効率がいいため、曇っていても夕暮れ時でも発電できるといいます。
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 (積水化学工業 森田健晴さん)「向こうから送り出してきたフィルムがここへ出てくるんですけれども、このフィルムを…企業秘密なので塗工のところは映像として出しにくいですが、ここで塗ります。ずっと送られてきまして、ここから巻き取っていくと。こういう形で出来上がったものは真っ黒の太陽電池になります。結局、効率を追求していくと全ての光を吸うので黒くなるんですよ。こんな感じになります、ペラペラなんですよ」
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 現在、開発中のペロブスカイト太陽電池は、耐用年数10年・発電効率は15%(シリコン系の発電効率は約20%)。2023年8月から本社ビル壁面を用いた実証実験も始めていて、2025年度中の実用化を目指しています。

 2025年4月に開幕予定の大阪・関西万博の会場にも設置される予定です。