院長「本人の自主性の中での自己研鑽」

甲南医療センター 具英成 院長
「皆さん、きょうはお集まりいただいて、まずは労をねぎらいたいと思います」

晨伍さんの死から1年以上が経った2023年8月。病院は、遺族に説明をしないまま、記者会見を開いた。

病院のトップ、具英成 院長は、調査報告書や労基署が認定した過重な労働を真っ向から否定した。

甲南医療センター 具英成 院長
「労基署の場合は、(タイムカードの)打刻の時間を中心に、時間を推定していると思うが、病院としては、過重な労働を負荷していた認識はございません」

晨伍さんが、長時間病院にいたことは認めたが、実際に残業していたのは、30時間30分だと主張した。

労基署が認めた200時間とはかけ離れたものだ。

では、この差は何だと言うのか。

甲南医療センター 具英成 院長
「本人の自主性の中での自己研鑽。(医師は)一生涯勉強だという典型的な仕事。日進月歩の医学の進歩もございます。アップデートしていかないと、皆さんの信頼をきちっと掴めるような医師には育たない。そういう部分で自己研鑽」

自己研鑽――

自分の能力を磨くために、自ら学習をしたり、経験を積んだりすることだ。

つまり、晨伍さんは、学会準備や医学の学習のため、自らの意思で長時間病院に残っていたのだという。

また、他の医師の勤務状況についても言及した。

甲南医療センター 具英成 院長
「全般的に言うと、当院では比較的、時間内に仕事を済ませて帰る方が多い。(過労自殺は)この病院だから出たという問題かどうか、わからないんじゃないでしょうか。私もわかりません」

しかし、過重労働に苦しんでいたのは、晨伍さんだけではなかった。

私たちは、独自に病院の内部文書を入手した。