「いったい誰の人生だったのかなって」 “実名審理”を決断した遺族は

京アニ事件とは別に、匿名性が認められる性被害に遭いながらも、実名での審理を望んだ遺族もいます。

加奈さんの母親 裕見子さん
「秘匿で裁判をするということは、法廷で(娘の)加奈の名前が呼べないことに気づいて」

高校3年だった岩瀬加奈さん(当時17歳)は、2015年11月、東京都江戸川区のアパートで、バイト先の元同僚・青木正裕受刑者(37歳)に殺害されました。

加奈さんは、現金などを奪われた上、性被害にも遭っていましたが、遺族は「娘の名誉を守りたい」と、「実名審理」を選択しました。

加奈さんの父親 正史さん
「(加奈が)アルファベットや番号で呼ばれちゃうと、いったい誰の人生だったのかなって、何も悪いことしていないのに、それがはっきり言葉に出せない裁判は、悲しいなと思いますよね」

加奈さんの母親 裕見子さん
「心無い書き込みでは、“親によるセカンドレイプだ”、と書かれたこともありましたし、自分たちの決断が間違っていたのかなと思うこともありましたけれども、家族みんなで決めたことですし、後悔はないです」

母親の裕見子さんは、自身の経験を踏まえた上で、裁判は遺族が望む形で進んでほしいと訴えます。

加奈さんの母親 裕見子さん
「どんな形でもやはり遺族が希望する裁判になってほしいし、“36分の1”ではなくて、“36通りの1人1人の裁判”になってほしい」