不足する生活用水 活用される「井戸」 県内では5万戸以上断水続く

被災地では、広範囲で断水が続いています。輪島市や珠洲市などではほぼ全域、県内5万戸以上が断水している状況です。

給水所では飲み水が配布されていますがーー。

住民「(飲み水は)毎日給水してもらっているので、大丈夫ですが、洗濯が出来ないので困っています」

トイレなどに使う生活用水の不足が深刻だといいます。珠洲市にある避難所では、支援に入っている看護師らがトイレの汚物を除去していました。

流せないままトイレを使い続け、放置されていたのだといいます。

看護師
「ゴミ袋7袋ですよ、便器2つで」
「誰かがやらなきゃいけない。早くやった方が絶対にいい」

七尾市の銭湯では、営業を休止する中、井戸水を周辺の人に開放していました。

飲むことは出来ませんが、この井戸水を洗い物やトイレに使い、水不足を乗り越えようとしていました。

七尾市の住民「もうつくづく水のありがたさがわかりました」

「地震以来 風呂入れず」新たに井戸掘りで水をーー

珠洲市にあるデイサービスは、建物被害がほとんどなく、電気も通っていますが、断水のために営業を休止しています。

デイサービス すまいる珠洲 吉國 國彦 社長
「これをすることが最善の方法だと思った。とにかくやっちゃえと」

役所に相談し、おととい16日から井戸を掘り始めたといいます。

デイサービス すまいる珠洲 吉國國彦 社長
「水は水源まで到達して」
ーーどれくらいまで掘ったんですか?
「実は6.5メートルで水が出たんです」

デイサービス すまいる珠洲 吉國國彦 社長
「毎分30~40Lの水が出るので、それだけの水量があれば、トイレ・お風呂には十分なんとか間に合う。あとは水質検査が必要になりますが」

施設に通っていた利用者のうち、20人程度が市内の避難所などで今も暮らしています。

デイサービスの利用者 生瀬谷トミ子さん(88)
「早く水が出れば、(デイサービスに)行きたいけど、まだ水の加減で…」

ーーでも見に行くと、だいぶ水が出るようになったいた。「もう少ししたら」と言っていました
「そんならよかったねぇ、みんな喜んでいますね、みんな『水が欲しい』って言っていたから」

生瀬谷さんは、地震発生からまだ一度もお風呂に入れていません。
高齢者の中には、避難所などでのお風呂に入りづらい事情もあるというのです。

デイサービス すまいる珠洲 吉國國彦 社長
「避難所で自衛隊が作った風呂に入る。寒い所から急に暖かいお湯に入るとヒートショックという問題もある。健常者を想定した浴槽なので、やはり介添えが必要」

施設は、井戸を掘って水を確保できたことで、近いうちに営業を再開するということです。断水の際の井戸は、過去の災害時にも役立ってきました。