東日本大震災、豪雨でも活躍 「HRダクタイル鉄管」とは
耐震化に向けてどういうことができるのでしょうか。いくつかありますが、そのうちの一例です。

「HRダクタイル鉄管」というものがあります。
H:ハザード(自然災害)
R:レジリエント(しなやかな強靭性)
ダクタイル:伸ばすことも曲げることもできる
節々で曲がったり伸びたりすることができる。イメージで言うと人間の背骨のような感覚に近いんだと思います。かなり柔軟性を持つことができる。
実際に過去の震災でも大きな力を発揮しました。地震・津波に見舞われた岩手県宮古市、東日本大震災が発生した直後の様子です。

確かに道路は壊滅的な状況ですが、この水道管(HRダクタイル水道管)は折れることもなく、しっかりその曲がって断水を防ぐことができています。
「HRダクタイル鉄管」の普及率が上がらない訳
ホラン千秋キャスター:
設置した後も形が変わる余地があるということですね。
井上キャスター:
はい、陥没したとしてもその形状に合わせて、そのまま水を通すことができます。豪雨災害があった秋田市でも、道路は大規模に崩落していますが、水道管はしっかりと残っている。曲げ伸ばしができるという、日本の技術力の一つと言われているものです。

日本ダクタイル鉄管協会の担当者は「腐食に強いものは耐久性100年以上」としています。
デメリットはコストがかかるというのはもちろん、かなりの重量があるために、山間地など重機が入れない場所では作業が困難な面もあるので、なかなか日本全国一斉に、というハードルは高いとされています。
実際に、主要水道管の「耐震適合率」をみてみると…(厚生労働省の資料より)

政府目標
2028年度までに…60%以上
全国
2021年度末…41.2%
となっています。
ホランキャスター:
全てを一遍に入れ替えるのは難しいのかもしれませんが、水は命に直結してくるので、どうにか災害がどこででも起きてしまう可能性がある日本で、この水道管を含め様々なインフラをアップデートしていけたらなと思いますよね。
田中ウルヴェ京 スポーツ心理学者(博士):
本当に水は生命に関わる、その次の、生き続けるためにも必要ですよね。
水がなくなってすぐに困るのは飲み水ですが、その後にずっと生き続けるためには、汚いものを処理するための水、手を洗う水など、本当に1日の中で水を使うことってこんなに多いのかと改めて気づきますよね。
地震など災害が多く、耐震化をしなければいけない、レジリエントな(回復力のある)都市開発をしないといけない日本だからこそ、これを特色として、諸外国に技術開発をどんどん届けていけるんだということを強みに変えていくためにも、技術開発をしっかりしていくことはとても重要だと思います。