石川県能登町で進められた数年におよぶ浄水場改築工事に、プラントメーカーの人間として携わった経験をもつ記者。元日の震災後、旧知の技術者と連絡が取れず、安否に気をもんでいた。前編・後編のうち、後編)

思わぬ形で飛び込んだ情報

X(旧Twitter)を眺めていたところ、思わぬ形で、矢波浄水場の情報が飛び込んできた。

被災地へ応援に駆け付けている大阪市水道局のアカウント。そこには、矢波浄水場で作られた水を、給水車へ補給している様子が写真付きで載せられていた。

“2代目”となった矢波浄水場は、何度も襲来する大きな揺れにも耐え、飲料水を作り続けていた。

「プラント装置を乗せるためのコンクリートの土台は、かなり分厚く設計した。まず耐震性を考慮した。次に、海や川からそう遠くないこともあるので、津波や増水などの事態も想定している。コストはかさむし、無駄になるかもしれないが」

宮内さんの語っていた設計思想を思い出して、胸が熱くなった。そして、改めて能登の地にいる人たちの無事を願った。