小笠原さんは、亡くなった職員をほかの犠牲者と同一視する町の姿勢に疑問を呈しています。


(職員の遺族 小笠原人志さん)
「一般町民に対する町の責任と雇用主として業務命令の中で亡くなった職員に対する責任は違うものがある。町には町民に対する責任と雇用主の立場としての責任は違う」

平野町長はこの日、代わりの慰霊碑建立場所として現在の役場庁舎の敷地内を提案しました。
職員の目に触れる機会が多い場所に建立した方が震災の教訓がより伝わるという考えです。

(平野公三 町長)
「震災前から働いている職員もですが、もう半分以上が亡くなられた方々を知らない人たちが入っているわけで、その方々にもきちんと伝えることができるだろうという思いもございまして」

この考えに対して小笠原さんは「ここで何が起きたかを伝える役割こそが重要なのだ」と反論します。


(小笠原人志さん)
「慰霊碑を建てて後世に伝えるということを考えればあの場所が、旧庁舎が一番ふさわしいんじゃないかというのは今も変わりません」

旧庁舎を巡って過去に起きた人々の意見の食い違いが今も尾を引く大槌町。
町と遺族の考えの隔たりを埋める術が見いだせない中で、東日本大震災の発生からまもなく13年を迎えようとしています。