世界の注目が集まる台湾・総統選で与党「民進党」の頼清徳(らいせいとく)氏が勝利しました。4年に1度、有権者が直接1票を投じる台湾の総統選。総統が誰になるのか、中国との関係を左右する存在です。「統一」か「独立」かそれとも…なぜ台湾は中国と複雑な関係にあるのか?新総統・頼清徳氏のスタンスは?手作り解説でお伝えします。

なぜ焦点に対中政策?台湾の歴史

民進党の頼清徳氏が当選した台湾の総統選。日本のみならず世界が注目しましたが、台湾が中国とどう向き合うかが焦点となるのは、台湾の歴史が大きく関係しています。

現在の台湾と中国の、複雑な関係が始まったのは、第2次大戦後。日本による台湾の統治が終わったあとです。

当時の中国は、蒋介石による「国民党」政権の『中華民国』でした。しかし、1949年、毛沢東率いる「共産党」との内戦に敗れた「国民党」は、台湾に逃れました。勝った「共産党」は『中華人民共和国』を樹立。一方、「中華民国」を名乗る蒋介石は、台湾で、自分たちが「正統な政府」と主張。中国と台湾で、それぞれ別の政権が誕生したのです。

「直接選挙」導入後、8年ごとに政権交代

台湾で独裁政権の総統として君臨した蒋介石ですが、一方で、独立や民主化を求めて、1986年に結成されたのが「民進党」です。

「国民党」側は1988年に初の台湾生まれの総統として、李登輝氏が就任。親米・親日の李登輝氏は1996年、初の直接選挙で総統選を実施し当選します。

これ以降「国民党」と、より独立志向の強い「民進党」の二大政党が政権交代を繰り返す時代になります。

2000年の総統選では「民進党」陳水扁氏が総統に。この時期、「国民党」側は対中ビジネスを拡大したいと考える財界を取り込み、中国との融和路線を訴えたのです。

その結果、2008年の総統選では中国市場の一体化を打ち出した「国民党」馬英九氏が、政権を奪還します。

しかし、行き過ぎた融和政策が、反発を生み、2016年の総統選で、政権は再び「民進党」に。蔡英文氏が総統となります。