寒さが本格化する中、この時期に増えるのが心不全です。心臓の動きが弱まり、突然、命の危機にさらされた妊婦を救った小さな心臓ポンプがいま注目を集めています。
<坂本美佳子さん>
「家では吐き気がすごかったが、病院に着いてから呼吸ができなくなっちゃって…」
妊娠中の体験を語るのは、浜松市に暮らす坂本美佳子さん(40)。3年前、妊娠34週目に「周産期心筋症」を発症しました。この病気は呼吸困難や意識障害などを発症し、最悪、死に至るもので、妊婦2万人のうち1人の確率で発症するといわれています。
<美佳子さんの夫・坂本憲彦さん>
「お医者さんも最悪の事態の話をされるものですから、それだけは起こらないようにというのが1番にあって」
突然の命の危険から美佳子さんを救ったのは、直径およそ7ミリの心臓ポンプ「インペラ」でした。「インペラ」は補助人工心臓の1つで、心臓の機能が弱った際にその機能を助ける世界最小の心臓ポンプです。皮膚から血管を通して心臓に挿入し、一時的に、心臓の代わりとなることで心機能の回復を促します。
ポンプ内の羽根車を高速回転させることで血液を循環させ、1分間に2.5リットルから5リットルほどの血液をくみ出すことができます。容体が急変した坂本さんの治療に当たった医師は「インペラ」を使いました。
<聖隷浜松病院循環器科医長 齋藤秀輝医師>
「難しいところではあるが、やっぱり坂本さんに関しては、本当に『インペラ』がなかったら、救えなかったことも十分ありうるかなと思います」
「インペラ」は開胸手術の必要がなく、心臓や身体への負担が少ないなどのメリットがあるといいます。一度は最悪の事態も想定された美佳子さんですが、いまでは第2子も出産し、走り回れるほどまで回復。2023年11月には、仕事にも復帰しました。
<坂本美佳子さん>
「妊婦さんだけでなくて、すべての方々に何があるか分からないなって、そういった時に命を救える可能性がある心臓ポンプというのは多くの病院で取り入れて欲しいなと思います」
「インペラ」が扱える医療機関はスタッフの数などにより、現在限られていますが、販売会社側はさらなる普及に向けて意気込みます。
<日本アビオメッド 西村栄三社長>
「通常、このような疾患に陥る患者さんの生存率は、急性心筋梗塞、心原性ショックでは約半分の方が亡くなるデータがある。その生存率を『インペラ』使用後だと80%くらいまで生存率を上げることができる」
誰もが突然、発症する可能性のある心臓のトラブル。少しでも多くの患者を救うため「インペラ」のような医療技術がさらに発展することが期待されます。
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