石破氏が「能登半島での自衛隊」、「『裏金事件』の裏側」、「刷新本部の『エッフェル姉さん』」「派閥解消」…と語っていきます。事件を受けた自民党刷新本部の「合格点」は「国民が『自民党よくやったね』と思う」ところまでやること。出来なければ「頼りないけど野党にやらせようという人が増える」と、事態の深刻さに熱く警鐘を鳴らします。当時の宮沢総理邸にて政治改革を直訴する31年前の石破氏の姿も必見です。是非ご覧ください。(聞き手:TBSテレビ政治担当解説委員 石塚博久)

元日を襲った能登半島地震 普段からの備えで被害防ぐ「防災省」を

ーーまずは能登半島地震について。震度7でマグニチュード7.6、日本海側広範囲に津波と、その後亡くなった方は200人を超えてしまっています。

石破茂 元幹事長:
当然のことながら災害には盆も正月もないということですかね。この地域は昔から「地震の巣」と言われているところでね、いつかこういうことが来るんだということで。最近、首都直下だとかそういう都市型災害の議論があるんだけれども、こういう過疎地、中山間地、漁港地帯、こういうところでこういう事が起こったときにどうするんだと。エコノミークラス症候群であるとか、あるいは2次避難であるとか、災害関連死であるとか、そういう問題はいつも出ることなんですよね。そうだとすれば、常日頃からそういうことが起こったならば、2次避難、旅館・ホテル、そんなところのお金は国が払う、迅速に移動してもらって「災害関連死だけは防ぐというような体制をきちんと作っておこう」、それが「防災省」じゃないですか、ってことを改めて私は思ってますけどね。

自衛隊は「今考えられるあらゆることはやっている」

ーー能登半島地震での自衛隊の展開の仕方ですが、最初は1000人、その後段階的に増強していきました。これについて色々な見方がありますが。

石破茂 元幹事長:
いっぺんに入って、人海戦術で効果的なオペレーションができる場所だったかというと、そうではないわけですよね。本当に交通は寸断している。どこで崖が崩れてくるかわからない。そういう状況の中で、大勢が入っていくとかえってそれがまた問題を惹起しかねないということなんですね。もちろんこれがベストだってことはないんだけども、私も昨日からずいぶん話を聞いてみたけれど、ベストではないが、今考えられるありとあらゆることはやっているというのは、私は実感しましたね。

政治改革「時の総裁でやり方は違う」「結果が全て」

ーーパーティー券収入の裏金事件を受け、自民党の政治刷新本部が立ち上がりました。リクルート事件を受けて竹下総理の直属機関として発足した35年前の政治改革委員会では、当時の後藤田正晴会長は党の役職はなかったかと思いますが、今回は幹事長など党4役がメンバーに入っています。これについてどうご覧になりますか?

石破茂 元幹事長:
かつて35年前は、竹下総理はご自身が信頼する後藤田さん、後に政治改革本部になるときには伊東正義さん、「この2人に任せた」というやり方だった。どっちも官僚のトップまで務め、内閣の中枢を占めた人。でも、そのときは党の役員でも何でもないという方々でしたよね。それが35年前。今回は岸田さん自らが本部長となると、主要なところには党の役員が入ってる。それは時の総裁によってやり方は違うんでしょう。結論がどう出てくるかであって、今の時点から予断を持って「この体制は駄目」ということにはならない。『結果が全て』です

「あの時の真摯さを取り戻さなきゃいかん」政治改革大綱が伝える『肉声』とは

石破茂 元幹事長:
私、自民党総務というポストには今もいるわけですよね。まだこの刷新本部ができる前の去年の暮れの総務会で、私が申し上げたのは「そういう(35年前の政治改革委員会のような)組織いりますね」と。30何年前の文書ではあるんだけれども、(政治改革委員会が作った)「政治改革大綱」というのは本当に読んでて肉声が伝わってくるんですよ。危機感が伝わってくるんです。例えば「総裁・副総裁・幹事長・総務会長・政調会長・参議院議員会長・閣僚、みんな派閥を離れろ」と。「派閥のやるパーティーは自粛をせよ」と、そして「人事は派閥の話し合いで決めるな」と。「そういうような機能を派閥に持たせてはならない」と。人事というのは、抜擢主義、能力主義と書いてありますよね。そういう文章がありました。
偉そうなこと言ってる私も、何十年と読み返したことがなかったわけ。読んでみて自分が閣僚だったり党役員だったときに、これに反したことをいっぱいしていた。「これをちゃんと守ってれば違う自民党があったのにな」っていう反省が私にもあるんです。多分ね、これを覚えてる人って自民党議員の5%もいないと思う。もう1回読み直してみる、その通りやるってことじゃない。当時はこんな議論をしていたよね、もちろん中選挙区ですけどね。だからそれを一つの材料にしてみるってことは必要じゃないですかってことを去年の総務会で申し上げました。復古主義じゃないんで、あの時点に戻れって言うつもりはないんだけど、あの時の真摯さというのはもう一度我々取り戻さなきゃいかんのだと思いますけどね

ーー政治刷新本部メンバーに関しては、「青年局長・女性局長経験者」ということで10人以上が起用されていて、パリ研修が問題視された松川るいさんも入っています。国民はどう見ますかね。

石破茂 元幹事長:
それは、女性局長経験者、青年局長経験者ということで、それはあんまりそういうことにこだわることなくボンと入れてるんじゃないんですか。海外研修でいろんなことがあったから外しておこうということが良かったか悪かったかは、それは結果を見て有権者が判断していただくということ