焼き台と菓子型も無事のようだ


多間さん)「良かった。こんだけでも」
さらに大切なものも無傷だった。多間さんは安どの表情を浮かべる。
多間さん「お饅頭を焼く焼き台です。この型で桜の花の形を抜いて、ここで焼くんです」
私「お饅頭は、もしかしたらまた作ることができますか」
多間さん「できるかも、これがいきてるから…。これがあるし。」
店は甚大な被害を受けたが、多間さんの言葉からは”諦め”の2文字はないように感じた。私はおととし、多間さんからいただいた「太鼓饅頭」の味わいを思い出した。ほのかに甘い餡がカステラ生地に優しく包まれた素朴な味だ。


















