「台湾と中国は兄弟であり夫婦」新台湾総統に望む対中姿勢は

「台独(=台湾独立)を志向する若い人たちが台湾で増えていることに大きな違和感を感じます。台湾海峡の両岸で生活している私たちは切っても切れない関係なのに」。

そう語るのはIT業界に勤める台北市出身の40代男性。北京での暮らしは20年以上に及ぶ。

最近の台湾の若者たちは「台湾人」としての意識を強く持ち、中国と一定の距離を取る考えを支持しているという。一体なぜなのか?男性はこんな見方を披露した。

「『台湾は強大な中国の隣の小さな地域』。これが私たちの世代の台湾に対する見方です。しかし、今の若い人たちは『台湾はグローバルなプレイヤーの一員である』と感じているのでしょう。若者にとってもはや中国はアメリカ、日本、東南アジアなど数ある国の中の一つの選択肢に過ぎません」。

2016年に国民党から民進党に政権交代して以降、台湾当局は中国への経済的依存度を下げ、東南アジアなど中国以外へ積極的に投資するよう、台商たちに呼びかけてきた。中国と台湾が別々の「国家」になって75年。経済発展を遂げ、国際政治経済の中で大きな存在感を放つようになった時代の台湾で育った若い世代は中高年世代とは違った中国との付き合い方を志向しているのかもしれない。

(民進党の選挙集会 台商の投資が台湾に戻ってきたことをアピール)

中国で長く暮らす彼に新総統には中国とどんな関係を築いてほしいのか、聞いてみた。

「台湾と中国は兄弟、夫婦、隣人などいろんな例え方がされますが、政治や経済が相互密接に関係していることは避けられません。ですから、政治的な問題は脇に置いて、経済を活性化させ、台湾海峡の両岸の人々がお金を稼ぐ機会を増やそうではありませんか」。

彼は今回、どの候補に票を投じるか明言はしなかったが、政治よりも経済を優先すること、台湾と中国の友好関係の重要性を繰り返し強調した。

「中国に住む台湾の人たちは中国人と盛んに交流します。でも、台湾に住む台湾の人はほとんど中国人との交流が無いでしょう。交流が増えればきっと、私たちは同じ民族で同じ祖先を持っている、という考え方に傾くはずです。

だから、新しく選ばれた総統には中国とより多くのコミュニケーションをとり、双方の不安を取り除き、(中台)両岸の交流が増えるような中道路線を歩んで欲しいと願っています」。