台湾社会の閉塞感から逃れ、中国へ
「私は台湾企業にいたら普通の管理職です。でも、中国ならトップを任せてもらえる。それが中国に来た理由です」。
そう話すのは北京で商業施設の経営を手がけ10年になる台北市出身の40代男性だ。台湾の定年年齢は日本と同じ65歳。しかし、台湾の多くの企業には役職定年がないため、上級管理職のポストがなかなか空かず、若い世代は昇進のチャンスが閉ざされているという。
そんな閉塞感を感じていた時、「台湾式」の商業施設を北京で経営して欲しいと中国企業に誘われた。今ではゼネラルマネージャーのポストを手に入れている。

「中国で働く台商は多かれ少なかれ中国に親近感を覚え、中国に対して融和的な考えになります。中国人に囲まれて暮らし、中国のメディアに接し、中国的な生活を毎日送っているとある意味“洗脳”される部分もありますね」。
中国に来た当初は長くここで暮らすことは考えていなかったという。しかし、台湾にいた時よりもダイナミックな仕事ができる今の生活に満足しているほか、中国に親しみを覚えたこともあり、今では中国でずっと暮らそうと考えているようだ。
彼の知り合いの台商の多くは中国に対して融和的な態度を取る、国民党の支持者が多いという。彼自身も自分のビジネスを円滑に進めるためにも、台湾と中国の安定的な関係維持を新しい総統に求める、と話した。