若い台商が中国に覚えた「親近感」
「台湾の大学を卒業しましたが、年収の高い仕事につけなかった上、台湾では台北など都市部の住宅価格が高騰していて、将来、安定した生活ができるかどうか、見通せませんでした。だから、私はビジネスチャンスを求めて中国で働くことを決めたのです」。
こう話すのは台湾南部出身の20代女性。確かに、今回の選挙でも若者の就職難と都市部の住宅価格高騰の解消が重要な争点となっている。

「台湾にいた時、中国は馴染みがない外国のように思っていました。でも実際に来てみたら同じ中国語を使って仕事ができるし、多少の生活習慣の違いはありましたがそれほど戸惑いは感じませんでした」。
2023年、私は台湾の若者たちに台湾と中国の関係についてインタビュー取材をしたが、「中国に対し政治体制やマナーの違いから、心理的距離を感じる」という声を多く聞いた。しかし彼女は、同じ言語圏で生活できる中国に対し、むしろ親近感を覚えたという。
参考)「中国が武力統一すると思いますか?」台湾の人に聞いてみた【WORLD REPORTS】
彼女自身は今回の選挙に特に関心はないというが、どのような新総統が望ましいと思うのか、聞いてみると。
「私は台湾と中国を行き来するような働き方が理想的だと思っています。そのためには、(中台)両岸の関係が常に安定していることが必要ですから、中国に融和的な外交姿勢を取る台湾政府であって欲しいと思っています」。