「誰も助けに来てくれなかった」…度重なる大きな揺れが救助活動を阻む

村瀬健介キャスター
「倒壊した家屋、足元は道路が波打っている状況です。いかに揺れが激しかったかということがよく分かります。7階建てのビルが完全に横倒しになり、隣の建物を押しつぶしています」

押しつぶされた住宅では何か持ち帰れるものはないかと探す男性の姿があった。当時、男性は家族と共にこの家の中にいたという。

住民の男性
「3階でお正月をしていた。揺れて気づいたら下にいたの、この状況で。次男を引っ張り出して次女を引っ張り出して、あと長女と女房がいる。女房は叫んでも応答がなかった。一生懸命見たら奥に挟まっていた。顔と手だけが出てた。女房は1回動かした、手を。女房の前に娘がいて娘は笑っていた。そのとき「女房はたぶんだめかな」と思っていた。でも長女は生きていたよ、まだあのとき。叫んで携帯持っている人に警察官を呼んでもらった。だけど来るわけねえじゃん、みんな一緒なんだから」

その後、救助隊が到着したが、大きな揺れが度々、救助活動を阻んだ。3日の夜になって男性の妻がようやく救出された。娘も救出されたが、2人は亡くなった。

住民の男性
「わかる?目の前で生きている娘を助けられない親父の気持ちって。目の前で死んでるんだよ。生きているの、誰も助けに来てくれなかった。遅くても、もっと早く来てほしかった。来てたら助かったよ」

輪島市では6日午前9時時点で139人の安否がわかっておらず、今も多くの人が建物の中に閉じ込められている。建物の被害はいまだ全容がつかめていない。

6日、楠教授が調査のため輪島市に入った。

村瀬キャスター
「ビルの倒壊現場をご覧になって、どういうことがみえてきますか?」

東京大学地震研究所 楠浩一 教授
「建物の柱の下に丸い穴が開いているが、あそこに杭がささっていた。そこから抜けてしまって向こう側へ倒れてしまった状態。まわって見ましたが、4~5階建てで傾いてる建物がいくつかある。液状化が部分的に起きている、マンホールが上がってきている。地盤があまり硬くないっていう特徴と非常に強い地震動が来たという2つが大きな理由だと思う」