2日、羽田空港の滑走路で日本航空と海上保安庁の航空機が衝突した事故。元・日本航空パイロットで航空評論家の小林宏之さんと“パイロットの目線”から検証します。

事故の瞬間を専門家が解説 「停止できたからこそ非常脱出できた」

上村彩子キャスター:
まず今回の事故で衝突したのは、日本航空のA350-900型機と海上保安庁のボンバルディアDHC-8型機です。2つの大きさを比較してみますと、全長そして高さともにJALの機体の方が倍以上、そして重さに関しては10倍以上の開きがあります。

▼日本航空A350-900型
全長 66.8メートル
全高 17.05メートル
最大離陸重量 217トン

▼海上保安庁 ボンバルディアDHC-8
全長 25.68メートル
全高 7.49メートル
自重 約13トン

この2つの機体が2日午後6時前、羽田空港のC滑走路で衝突しました。

衝突の瞬間を捉えた情報カメラの映像から検証します。

突然炎が噴き上がり、海上保安庁の機体はその場で大破。日本航空の機体は炎を上げながら胴体着陸をしているようにも見えました。

その約9分後、日本航空の機体から乗客が緊急脱出スライドを使って脱出している姿が確認できます。また、この時点では火は客室には回っていないようにも見えます。

ホラン千秋キャスター:
映像をご覧になって、まず気付く点は?

元日本航空機長 小林宏之さん:
日本航空機と海上保安庁の飛行機は、重量においても10倍以上あります。そして、着陸の速度はだいたい新幹線と同じ200数十キロですので、それが衝突したら瞬間的に爆発的な衝撃が生まれる。おそらく、燃料タンクを突き破ってすぐ発火したのではないかと思います。

それからJAL機は燃えながら滑走路の末端まで行って停止しましたが、停止したからこそ、非常脱出ができたということ。あの炎の中で滑走路を逸脱せずまっすぐに地上滑走できたというのは、パイロットが必死に操作していたのではないかと思います。

元競泳日本代表 松田丈志さん:
JAL機と海上保安庁機はどこが衝突したのか、現時点で分かっているのでしょうか?

小林さん:
現時点ではわかりませんが、ただ着陸姿勢は機体が少し上向きになりますので、おそらくJAL機の後方と海上保安庁機の翼の部分、もしくは全体と言ってもいいかと思いますが、そこが衝突した可能性があるかと思います。