ニューイヤー駅伝 in ぐんま(第68回全日本実業団対抗駅伝競走大会。群馬県庁発着の7区間100km)で、前回5位のGMOインターネットグループ(以下GMO)が初優勝できる戦力を整えた。前回から大迫傑(32、Nike)が“参画”(所属はNikeのまま、GMOの業務を行う形で実業団駅伝に出場)し、3区で区間2位と期待に違わぬ走りを見せた。

前回1区区間賞の村山紘太(30)、前回4区区間6位の吉田祐也(26)、全日本実業団ハーフマラソン5位の今江勇人(25)らは実績十分。今季は岸本大紀(23)が青学大から、嶋津雄大(23)が創価大から入社。ともに箱根駅伝で区間賞を取っている。さらに22年世界陸上5000m銀メダルのジャコブ・クロップ(22)を採用。そしてさらに、ニューイヤー駅伝5区と6区の区間賞を取ったことがある小野知大(24)が移籍加入したことで、前回1~3位の3強(Honda、富士通、トヨタ自動車)に対抗できる戦力が整った。

わくわく大作戦の狙いは?前代未聞の副賞も

GMOは熊谷正寿グループ代表、亀鷹律良監督、原晋EKIDENダイレクターが12月27日に都内で会見を行った。席上、「(優勝するための)最後のワンピース」(熊谷代表)として“GMOわくわく大作戦!”を発動した。

「ニューイヤー駅伝を甘く見ていました」と熊谷代表。「最高の選手を揃え、最高のトレーニング環境を提供すれば優勝できると思っていました。これまでの事業ではそれで勝てていましたから」

前回までも、社是である“ナンバーワン”を駅伝でも求めてきた。上述の選手以外にも箱根駅伝で区間賞を取った選手を多く採用し、指導経験の豊富な亀鷹監督を招聘した。箱根駅伝優勝6回の原晋監督の知見や、東京五輪マラソン6位の大迫のトレーニング方法を強化に取り入れられるシステムを整備した。

「それでも何かが足りなかった。プレッシャーだけ与えても良い結果は得られません。スポーツ心理学では、最後にリラックスした心理状態で臨むことが重要です。最後のワンピースは選手たちにリラックスし、楽しんで走ってもらうための仕組み、仕掛けです」

そして“GMOわくわく大作戦!”を発表。さらに“にんじん”として、多くのチームが駅伝の成績によってインセンティブを設定しているが、「優勝したらHondaジェットを使って家族、大切な方と一緒の旅行ができます」と前代未聞の副賞を用意した。

原ダイレクターが「Hondaは優勝を争うチームですよ」と突っ込むと、熊谷代表は「それもネタになる」とすかさず返した。選手をリラックスさせることに徹するため、自身はライバルチームの憎まれ役になることもいとわなかった。