岸田総理が打ち出した派閥パーティーの当面の自粛についても、自民党内からは「パーティー=悪と自ら規定している」などと評判は芳しくない。

さらにカネの出入りの透明性確保や、罰則強化を盛り込んだ法改正となれば、反対勢力はさらに広がる可能性がある。

また、これまでタッグを組んできた麻生副総裁、茂木幹事長がどの程度、岸田総理に協力するかも不透明だ。

一方で30年前と異なる点も挙げてみたい。

30年前は党内の若手を中心に“政治改革”に取り込もうという熱量があった。

そのエネルギーが放出されて、自民党は分裂し「新生党」や「新党さきがけ」が誕生した。

政治資金規正法改正に向けては、様々なハードルと向き合わなければならない岸田総理だが、この問題は単に1つの政権の問題ではなく、長年日本の政治をリードしてきた与党自民党のあり様にも関わってくる。

断固とした対応が取れなければ、岸田総理と自民党が30年前の“悪夢”を見ることになりかねない。

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後藤俊広
TBSテレビ 報道局政治部長

小泉純一郎内閣時から政治報道に携わる。郵政民営化を巡る自民党の小泉VS民営化反対派の闘いや自民→民主、民主→自民の2度の政権交代などを現場記者として取材する。趣味はプロ野球観戦で中日ドラゴンズの落合博満元監督を取り上げた「嫌われた監督」が座右の書

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