「政治改革を求める国民の皆さんの厳しい声に真摯に耳を傾けて、党所属の議員とひざ詰めの議論を集中的に進めて、行きます」
「国民の信頼回復のために、火の玉となって、自民党の先頭に立ち、取り組んでまいります」

12月13日。臨時国会が閉会したこの日の夕方。
岸田総理は記者会見で安倍派などのパーティー裏金疑惑で揺れる自民党の総裁として“政治とカネ”の問題に取り組むと決意をアピールした。
岸田総理本人としては不退転の決意を“ひざ詰め”や“火の玉”という言葉に託したつもりだったのだろうが、与党内からは冷ややかな見方が飛び交った。
「ひざ詰め論議なんて党でやり始めたら岸田降ろしのパンドラの箱が開くかもしれない」(自民幹部)
「火の玉じゃなくて火だるまだろ?」(自民党若手)
決意表明をした岸田総理だが、“政治とカネ”の問題への本気度を問うには、やはり“ザル法”と揶揄される政治資金規正法の法改正がポイントとなる。
いまの法制度では政治資金パーティーについて、パーティーごとに20万円を超えるものに限って支払者の氏名など公表が義務付けられている。つまり20万円以下ならば匿名が守られる。
また罰則については、今回の裏金疑惑で問題視されている収支報告書の不記載や虚偽記載については5年以下の禁錮、100万円以下の罰金で、罰則の強化を求める声も上がっている。
いま自民党内では、この政治資金規正法改正にどういったスタンスで臨むかでかなり“温度差”がでている。
石破茂元幹事長
「政治資金規正法を含めた法体系の見直しをやっていかないと、『以後気をつけます』では済まない」(17日 民放テレビ)

裏金疑惑発覚後、頻繁にメディアに露出し存在感を誇示する石破茂元幹事長は2024年の通常国会で政治資金規正法の見直し論議をするべきとさっそく強調した。
河野太郎デジタル大臣
「みんながルール通りにやっていれば問題はなかったが、こういうことが起きてしまったということは少しルールを厳しくせざるを得ない」(20日 民放テレビ)

また2021年に岸田総理と自民党総裁の座を争った河野デジタル大臣は、罰則の強化やパーティー券購入の原則銀行振り込み、政治資金収支報告書のデジタル化などに触れた。
個々のレベルでは様々に発信しているが、総体としての自民党は腰が重い。
岸田総理は「年明けできるだけ早い時期に、信頼回復のための組織を立ち上げる」と表明したが、党内でどう具体的に議論をしていくのか。
総理周辺では自民党に専門の組織を作って徹底論議すべしという意見もあるが、まだ具体的な舞台装置は見えてこない。
元自民党幹部職員
「なんだか30年前と似てきたと思うんですよね…あの時もいまと同じ宏池会政権だった」
半世紀以上にわたって党職員として自民党の党運営に関わってきたベテランは感慨深くこう口にした。
30年前に何があったのか?