6日、政治資金規正法の改正案が衆議院を通過した。岸田総理が麻生副総裁、茂木幹事長の反対を押し切り公明党、日本維新の会に大幅譲歩した自民党案については、最新のJNN世論調査で7割が「評価しない」結果だった。なぜ評価されないのか。国会での議論が国民感覚とはかけ離れていたことが世論調査から見て取れる。

“禁止すべき”半数以上なのに…全く触れられなかった「企業・団体献金」

パーティー券の購入者の公開基準について、現在の「20万円超え」から「10万円超え」(自民党案)にするか「5万円超え」(公明党案)にするか。「5万円超え」にすることに猛反対する麻生氏、茂木氏だったが、最終的に岸田総理は公明党案に譲歩する方向に舵を切った。そんな岸田総理がどうしても譲れなかったものが、「企業・団体献金の廃止」と「政治資金パーティーの禁止」だったとされる。

結果、今回の自民党の修正案に「企業・団体献金」の見直しは全く盛りこまれなかった。与党協議では議論の土台にすら上がっていない。修正案に賛成した維新をふくむ、ほぼ全ての野党が「企業・団体献金の禁止」を主張していたにもかかわらず。
野党側は「政策がゆがめられる懸念がある」などとして禁止を主張したが、岸田総理は「多くの出し手による様々な収入を確保することが、政策立案における中立、公正やバランスの確保において重要。一部の企業からお金を受けることによって、政策がゆがめられることはない」と断言した。果たして、この総理の主張にどこまで説得力があるだろうか。

今回の世論調査で企業・団体献金について聞いたところ、「禁止すべき」は54%で「認めるべき」28%を大きく上回っている。(自民党支持層に限れば「禁止すべき」33%、「認めるべき」46%と逆転する)

(河野洋平自民党総裁と細川護熙総理 1994年1月29日)

企業・団体献金についてはかねてより「金権腐敗の温床」と問題視され、30年前の細川護熙総理と自民・河野洋平総裁による平成の政治改革で、規正法の付則に、政党向けの企業・団体献金の5年後の「見直し」が明記されたが、うやむやにされて今に至る。河野氏は23年末に衆議院が行ったオーラルヒストリー事業のインタビューでこう訴えた。

「企業献金の廃止は、個人献金に振り替えろという話はなかなか難しいだろうから、企業献金を止めて公費助成にしようということでした。だから、公費助成が実現したら企業献金は本当は廃止しなきゃ絶対におかしいんですよ。しかも、激変緩和のため5年後に見直すと法律の附則に書いたのにスルーした。見向きもしないでスルーしてもう25年たったんだからね」

河野氏は税金を原資とする政党交付金が交付されている以上、企業献金は廃止すべきだと、怒りをもって語っている。