「裏金」だけに、法律的には厄介な状況

――元東京地検特捜部の郷原信郎さん、自民党安倍派の宮沢前防衛副大臣なんかは「派閥の指示があった」とも話していますけども、その辺りをどうご覧になってますか。

(郷原信郎氏)派閥から指示があったということは、要は、「これは裏金だよ」と言って渡されたということ、表に出さないお金として、議員個人の判断で表に出せなかったのではなく、派閥全体で裏金として渡してるんだということがはっきりしているということだと思うんです。

それは派閥のやり方として、国民の目からすると許しがたいことだと思うんですが、その裏金は『どこで処理すべきなのか』ということをほとんど認識しないっていう、法律的には厄介な状況になってしまって、逆に処罰しにくさに繋がってしまうという一つのパラドックスになってしまいます。

国会議員を立件するのは相当ハードルが高いと思います。その割には、あまりに捜査の前段階で大きな騒ぎになりすぎている。特に議員個人は、一体どこの政党支部、政治団体、資金管理団体で処理することが前提だったかっていえば、「裏金ですから、何にも考えてないはず」です。ということは、どこで記載すべきだったかってことが特定できないで、結局、政治資金規正法違反が立件できないっていう可能性も十分あるわけです。