イチロー氏(50、マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)による今年2校目の高校球児指導が16、17日の2日間に渡り行われた。今回訪れたのは離島から「悲願の甲子園出場」を狙う沖縄・宮古島の宮古高校だ。
宮古高は、23年の沖縄春季大会で8年ぶりに決勝進出を果たし準優勝。夏の県大会は、準決勝で春の選抜出場校の沖縄尚学と対戦し5-2で敗れたが、離島という厳しい環境の中、初の甲子園出場へ、あと一歩まで迫っている。
宮古島から甲子園へ。学校関係者や生徒のみならず、島の住民からその「悲願を叶えたい」という思いが、イチロー氏のもとに届いた。「島全体の思いに応え、未来の礎となるきっかけを残せたら」と、イチロー氏は宮古高校への訪問を決めた。
宮古島は、沖縄本島から南西約300キロに位置する、イチロー氏とも縁の深い場所だ。プロとしての第一歩を踏み出したオリックス時代のキャンプ地。イチロー氏がプロ野球選手としての礎を築いた場所と言っても過言ではない。
「中途半端な覚悟ではイチローさんと対峙できない」
12月1日の練習終了後のミーティング。平良栄二監督(46)は「先生からのクリスマスプレゼントがある。12月16日と17日に野球教室をするんだけど、教えに来てくれる人がいる」と切り出した。

平良監督:(イチロー氏が北海道・旭川東高校を訪れた時の映像を部員たちに見せ)2週間後に宮古高校に来ます。
部員たち:おおおおおお・・・
平良監督:嘘だと思ってるでしょ。
部員たち:笑
平良監督:マジです。これだけたくさんある高校の中で、君たちが選ばれた。滅多にないチャンス。これを掴まないといけないんじゃないかと思うので、この機会を思い出にしてほしくない。自分たちが本気で何を学ぼうか、自分たちを成長させるために、自分たちのチームをもっと強くするために、甲子園に近づくために必要なことは何なのか、本気にならないといけない。覚悟を持て。中途半端な覚悟ではイチローさんと対峙できない。君たちが本気でやってくれないと、イチローさんの来る意味がない。君たち次第。マネージャー含めて20名。誇りと責任と覚悟を持ってやってほしい。
イチローと対面の時がやってきた
12月16日、この日の宮古島は雨。しかも10m以上の風が吹き荒れるコンディション。11時40分、屋内運動場にイチロー氏が入ってくると、部員たちは拍手、そして挨拶で迎えた。笑顔のイチロー氏の第一声は、「はじめまして、イチローです」。さらに「もうちょっと盛り上げてほしいね。もうちょっとテンション上げていいんじゃないの。遠慮しちゃう?もう一歩、先にいくために必要な事なんじゃないの、自分を表現するのに」と続け、緊張の面持ちの部員たちに先制パンチを放った。

「悲願があるんでしょ、離島から甲子園っていう。それに向けてね、1年生中心のチームなのかな。2年生が3人、特殊な形だと思うんだけど、僕、みんなが生まれるずっと前なんだけどね、オリックスにいて宮古島で毎年キャンプして、2006年のWBCの時にも宮古島に来てキャンプして。それ以来なんだけど縁起はいいはずなので、それ信じて一緒にやりましょう」