「パーティー券購入はみかじめ料」

そもそもなぜパーティー券による資金集めが定着したのか。
それは、政治資金規正法が改正された70年代にさかのぼる。

当時、田中角栄氏が全国の遊説にヘリコプターをチャーターするなど金に物を言わせた選挙が問題視され、1975年、青天井だった企業や団体の献金に上限が設けられた。

その穴埋めとして増えたのが、アメリカでは一般的だった個人からの献金を募る政治資金パーティーだ。

政治と金をめぐる歴史に詳しい岩井奉信氏は…

日本大学名誉教授 岩井奉信氏
「日本でも個人がポケットマネーを出すなら、それは良いことだと。政治資金パーティーをもっと開いて個人献金を集めましょうと当初は奨励された。ところが非常に規制が緩いということで、結局のところ悪用されていく」

80年代後半、未公開株のばらまきで政界を揺るがせたリクルート事件でもパーティー券の問題が俎上にのった。

その後、パーティー1回につき20万円を超える購入は収支報告書に記載し、公表することが決められたものの、今でも企業からの寄付の隠れ蓑としてパーティー券は利用され続けている。

長年会社で、議員個人のパーティー券を購入してきたという役員が取材に応じた。

2023年の銀行の振込記録。
取引名に「パーティー券」の文字。
1枚2万円を10枚購入し、20万円を支払っている。

――これはどの派閥の方ですか?

パーティー券を購入した会社の役員
「たまたまですけど、安倍派。(議員側から)『10枚お願いします』という感じで来る。5枚の事もないし、1枚の事もない」

――最初から10枚以上は求められていない?

パーティー券を購入した会社の役員
「そうですね」

購入額が20万円以下のため、収支報告書に購入者の名前や金額が載ることがない。そのメリットについて…

パーティー券を購入した会社の役員
「名前は出ない方がいい。その先生の色が出るというか、企業としてあまりよくない。その政治家とお付き合いしていると、他の政治家には知られたくない。うちは複数とお付き合いしているので、こちらには15枚買ってこちらは5枚とか、そういうのを知られるのも嫌」

パーティー券を通じての長年の“お付き合い”が会社の利益につながったこともあったという。

コロナ禍で政府が実施した緊急融資について申請が通るかどうか、議員事務所に相談の電話を入れた時には…

パーティー券を購入した会社の役員
「(融資を)『申し込みした申請用紙と金融機関の担当者の名刺か名前、電話番号を教えてください』と議員秘書に言われた」

情報をFAXで送ると、金融機関から電話がかかってきた。

パーティー券を購入した会社の役員
「『何々先生の事務所から電話をいただきました。頑張ります』と。頑張りますとまでは言わなかったかな?そんな感じ。対応いいですよ」

――ガラッと変わる感じ?
パーティー券を購入した会社の役員

「ガラッと変わりますね」

――実際コロナのときの融資っていうのはおりたんですか?
パーティー券を購入した会社の役員

「本当にスムーズに、お願いした金額でいけました。例は悪いけどみかじめ料みたいな。何かお願いするときのためのお付き合いという認識でパーティ券は購入している」