岸田政権を揺るがす、自民党のパーティー券裏金問題。
パーティー券はどう売買され、裏金となっていったのか…。
「みかじめ料のようなものだった」
支援者がパーティー券を買い続けた理由も浮かびあがって来ました。 

“裏金問題” パーティー券売買の実態

組織的な裏金作りの疑いがもたれている安倍派のパーティー券問題。

安倍派に所属する国会議員は、先週、報道特集の取材に対し、「キックバックはおよそ20年前には始まっていた」と証言した。

安倍派国会議員
「20年ぐらい前にはすでに慣例でやっていたことが、表沙汰になり大変なことになってしまった。ノルマの超過分は、本来であれば正式な手続きを経なければいけなかったものが、ある時点から『それはいいじゃないか』となおざりになっていった」

自らも過去、数年間にわたりキックバックを受けていたというこの議員。

派閥からは「政治資金収支報告書に書くな」と指示を受けていたことも明かした。

安倍派国会議員
「キックバックについては、『派閥から報告書に書くなと言われた』と事務所の会計責任者が言っていた。修正しなければならないと思っているが、特捜部も動いているので、下手に動けない」

報告書への不記載は、誰の指示だったのか。
派閥の幹部である高木事務総長は…。

――キックバックを記載しないよう指示したのか?

安倍派・高木毅事務総長
「今まさに、事実関係を慎重に調査・確認している最中です」

「キックバックの慣例は、安倍派以外の派閥でも続けられていた」と証言する自民党の国会議員の元秘書がいる。

自民党国会議員 元秘書
「キックバックというのは派閥にはよると思いますけど、ある程度当たり前というか、慣習ではありました。僕ら“還付金”ってよく言ってたんですけど、ノルマ以上売れば、還付金があるよということはある程度承知していましたから」

この元秘書は派閥のパーティー券を実際に売って回り、ノルマを超えて販売したこともあったという。

元秘書
「私の議員は、大体ノルマが50枚ですね。1枚2万円だから50枚で100万円。従えている議員の党内での力を示す意味でも、なるべくノルマを超えて売り上げないといけないというのがありますから、一生懸命売ってました」

――ノルマ以上売って還付されたはずの額が(報告書に)記載されていない?

元秘書
「そうですね。やはり地元の選挙対策であったり、私設秘書の給料であったりとか人件費もありますし、(月額100万円支給される)文書交通費だけでは足りない部分も当然あるでしょうから」

“裏金”の使途は、事務所の経費だけではないという。

派閥の幹部クラスの議員は、自民党総裁選などでも“裏金”を使ってきたのではないか、と元秘書は話す。

元秘書
「決選投票になったりする場合を見越してこちらになびいてくるだろうなとか、あまり派閥で重要視されていない議員の方だったり、無派閥の議員等に何らかのバラマキをするようなことは実際ありました。総裁選というのは基本的には党内での選挙なので、公職選挙法には当たらない。資金力が高いところがやっぱり有利であると思います」

――実際に現金が飛び交うわけですか?

元秘書
「そうですね。その派閥から何人入閣できるとか、そういったことになるので、自民党の金権体質というのは、慣習になっているとは思います」

安倍派のパーティー券はどのようにして販売されていたのか。

安倍派の議員が関係する会社に勤め、パーティー券を売っていたという男性が証言した。

安倍派のパーティー券を売っていた人
「輪ゴムでひとくくりにされて、机の上にボンと置かれてて、名簿と一緒に。配って来いも何もなくて、置かれたらその名簿通りに持っていくというだけ」

男性がパーティー券を売る相手は議員の会社の下請け企業だったという。

安倍派のパーティー券を売っていた人
「私の場合はほとんど下請けの方たちでした。もう断るなんていうことは、仕事を自分たちの仕事を放棄したっていうのと一緒。反社会勢力と変わらないんですよ、やり方が。(購入者は)『またですか』っていう風な感じの方も結構いた。単純に言って力関係だと思います。当然買うだろう、無言の圧力ですね」

この安倍派の議員の事務所では、期日までに振込がされているかチェックを徹底していたという。

安倍派のパーティー券を売っていた人
「振り込まれたら、必ず通帳の方に記名されるので、表と突き合わせて、誰が入ってない。誰がまだ振り込んでないっていうのは一目瞭然。封筒だったか振込用紙だったかに、どこかに通し番号が付いてる。だから全部紐付けになってるので」

パーティー券については、20万円を超えなければ購入者の氏名などを収支報告書に記載する必要がない。

安倍派のパーティー券を売っていた人
「名前が出ないので、差配する人から20万円以下にするようにという風な指示を受けてました。組織的といえば組織的ですよ。それはもう全部その議員さんが、東京で清和会で、何かをしてくださると思って期待して、お金を投じてこられた。それが結局個人の懐に入っていたってなると、出された方たちはどう思っいるのかな」