13日、日本で初開催となるスケートボード・ストリートの世界選手権が有明コロシアムで開幕。今大会はパリ五輪予選の第5戦を兼ねる重要な大会となる。男子で注目は世界ランキング5位の白井空良(22 しらい・そら、博報堂DYスポーツマーケティング)だ。
今年6月、ローマで行われたパリ五輪予選では準優勝を果たし、パリ五輪予選ランキングでは現在日本人トップ。12位につける東京五輪・金メダリスト堀米雄斗(24 ほりごめ・ゆうと、MIXI)を上回っている。

空良(ソラ)グラインド

白井が持つ唯一無二の武器は、自身の名前がついた「空良(ソラ)グラインド」。段差をまたぐようにボードを180度回転させた後、前方の車軸部分で滑り降りるオリジナルトリック。世界で白井にしかできないという大技だ。

【空良(ソラ)グラインド】180度回転後、前方の車軸部分で滑り降りる

白井空良:
初めて世界大会に出た時に、もう技がなくて何をやろうってなった時に『空良グラインド』を出しました。もともと遊びでやってた技が結構点数が出たので、もっともっと磨きをかけようかなと思いました。

この大技を駆使し、2019年11月に国際大会で初優勝。一躍 世界のトップスケーターの仲間入りを果たした。技に自身の名前がついたきっかけは意外なものだった。

白井:
この技を日本の大会で出した時に、誰かはわからないんですけどMC が『空良グラインド』って言って、それをメディアの人が『空良グラインドって名前が付けられてますけど、どう思いますか?』って言われて『そうなんですか!?じゃあもう空良グラインドでいいや』って、なりました。誰もやってないってことを認めてくれる証拠だと思っているので、すごくうれしいなと思います。やっぱり人生を変えてくれた技というか、何もなかった所から、この『空良グラインド』が出来て、しかも自分の技に高得点がつくんだって自信をつけてもらって、自分の人生を大きく変えた技かなって思います。

挑戦はケガと隣り合わせ

誰もやったことがない技をやる。その挑戦の過程では、常にケガと隣り合わせだった。2020年には左ひざ前十字靭帯を断裂する大けが。手術した時に入れたボルトが今も左ひざに残ったままだという。

手術した時に入れたボルトが今も左ひざに残ったままだという

それでも、白井にはスケートボーダーとして追い求めたい姿がある。
白井:
誰かがやったトリックなんて面白くもないですし、誰からも評価されにくい。自分は周りと同じことをやろうと思わないし、誰もやっていない技をやるのが、近道であり評価されやすいと思うので、今はその道を突き詰めていこうと思います。大会でも勝てて『すごいかっこいいね』って思ってもらえるようなスケーターになりたいなってずっと思っています。

2度目の大舞台へ

2021年、東京五輪では予選9位となり、上位8名だけが進出できる決勝をあと一歩のところで逃した。その悔しさを晴らすべく、2度目の大舞台となるパリ五輪の出場権に照準を合わせている。

2度目の大舞台となるパリ五輪の出場権に照準

白井:
やっぱり大きなプレッシャーはありますし、世界選手権で落としたら自分の中できついっていうのもわかってますし。逆にここで取ったらだいぶ楽になるっていうのもあると思うので。本当に大事な大会だと自分で認識しています。やりたい技はいっぱいありますけど、とりあえず今は世界選手権で結果を残す、それだけを考えています。


■白井空良(しらい・そら) 169cm スタンス/グーフィー
2001年11月3日生、神奈川県相模原市出身
5歳の時に親のすすめでスケートボードを始める。2019年「Damn Am Japan」で国際大会初優勝。2021年の世界選手権で3位となり東京五輪日本代表の座を掴んだ。自身がプロデュースした神奈川県・寒川町のパークを拠点に活動している。