■戦争で傷ついた人たちに「生きる力」を 

「夢は持てない」と話していたリューダさんに、小川さんはある提案をすることにした。

神父
「君は料理ができるね?」

リューダさん
「はい。でも調理の学校に通っていただけ」

神父
「問題ないよ。実はある仕事をお願いしたいんだ」

持ちかけたのは、整備した炊き出し拠点で調理を手伝う仕事だ。

リューダさん
「ママに相談してみる」

小川真吾さん
「お母さんが良いって言ってくれればいいですね」

リューダさん
「良いって!」

援助を受ける当事者に社会貢献をしてもらい、対価を支払う。本人の生活を支えるだけなく周囲の助けにもなる。CSCs(社会貢献型現金給付支援)と呼ばれる、自立支援の新しい形だ。

5月3日、初仕事の日。炊き出し拠点でスープをよそう、リューダさんの姿があった。

炊き出しは週に2回。地元住民も協力し、避難民のために温かい食事を作る。18歳のリューダさんにとって、人生初のアルバイトだ。

リューダさん
「少しずつ慣れるように頑張る」

地元住民のマルタさん
「そのうち慣れるよ。生きていれば人は学ぶものね」

炊き出しは、避難民だけでなく貧しい地元住民のもとへも届けられた。

小川真吾さん
「多少、自分の生活が苦しくても、誰かに何かをしてあげることで、自分の生きがいだったり働こうっていう意欲に変わったり、何かできることを一つ一つやっていくことで自立することも可能だし、戦争が終わった後に国づくりを担っていく主体者として、脆弱だっていわれている人たちが活躍していく状況も作れる」

戦争で傷ついた人たちに「生きる力」を。小川さんたちの支援は今も続いている。

(報道特集 7月2日放送より)
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