米軍基地はPFASのブラックボックス?
「調査がされていない」と長妻議員が言う日本。実際PFASはどうなっているのか…PFASが使われているもので代表的なものの一つは泡消火剤。米軍や自衛隊で使用しているケースが目立つ。東京都が横田基地周辺を調査したところ、基地から東京湾にかけて土壌の汚染程度が濃いことが分かった。2012年には米軍基地内で泡消火剤が漏出していたのだが2019年には防衛省はその事実を知っていた。しかし非公表。米軍と公表についてすり合わせをしていたが、回答があった後も伏せていたのだ。公表されたのはようやく今年になってからだった。

東京都が調査した地下水のデータを見ると横田基地から東京湾に向けて濃度が高い地区が続いていく。さらに米軍基地周辺の血液検査をしたところ6割の人がアメリカの基準でいう「健康被害の恐れ」があるという数値を超えていた。しかし、日本政府は血液検査をする気配も、米軍の立ち入り検査をすることも1度もできていない。
「成長だけではない中に豊かさを求めていく…そういう価値観の転換が求められている」
便利で、生活を豊かにする商品にふんだんに使用されているPFAS、これを有害と立証されているもの以外まで使用禁止にされれば産業界は大きなマイナスだろう。
経済成長にも影響を与えるかもしれない。しかし、今こそ根本的な見直しが必要な時期ともいえる。
このPFAS問題を研究している京都大学の原田浩二准教授は現在の日本の基準値はあくまで暫定のもので、今後数値自体も変化するものだとしたうえでこう話す。

京都大学大学院 原田浩二准教授
「PFASを使わなければならない必須なものは猶予をするが、必須でないものに関しては少々便利さが劣ってもPFASを使っている商品を消費者がなるべく使わない選択をすることが企業を変えることになる。消費者が選ばないものは企業は作らないし、実際食品包装などではPFASを除去する動きも出ている」
立憲民主党政調会長 長妻昭衆議院議員
「経済の物差しを変えるべき。今までGDPという指標で競ってきた。環境を汚そうが、資源を無駄にしようが、有害物質を排出しようが付加価値が大きくなればプラスになると…。今研究しているのはGPI 既にある指標ですが環境を汚したりするとマイナスになる。そういう基準で競っていく…」
今のままの経済成長を追い求めていると気候変動、格差、戦争など複合的なリスクを被ると訴える「人新世の『資本論』」の著者、斎藤幸平氏はこのPFASもまさに人新世の問題だという。

東京大学大学院 斎藤幸平 准教授
「人類の経済活動が膨張していく中で地質学の概念になるくらい地球の在り方そのものを人類の経済活動が変えてしまう時代に突入している、これが人新世です。国際地質学会によると人新世は第二次世界大戦の後…。まさにPFASが大量に消費された時期と重なってくる。テフロンとかできて便利さ豊かさを享受してきた時代だった。21世紀に入って便利なものの本当のコストが環境破壊など様々な形で浮かび上がってきた。(中略)成長だけではない中に豊かさを求めていく…そういう価値観の転換が求められているのでは…」
(BS-TBS『報道1930』 11月28日放送より)














