自治体や教育現場も注目

協生農法は、環境だけでなくヒトにも優しいとして、今、地方からも熱い視線が注がれている。

そのキーパーソンが、予防医療を目指して鳥取県に移住、協生農法を始めた桐村医師だ。

協生農法で育った茶葉と通常の農法で育った茶葉を舩橋さんらが分析したところ、協生農法の茶葉には、複数のファイトケミカル=植物由来の機能性成分がより豊富に含まれていたという。

桐村さんは、協生農法の農園でとれる他の野菜や果物にもファイトケミカルが豊富に含まれていると考えている。

桐村里紗 医師
「ファイトケミカルは、野菜が外敵や紫外線など自分を傷つけるものから身を守るために出す免疫物質みたいなもの。例えば、ポリフェノール、カテキン、ベータカロテンなどがファイトケミカルの一種なんですね。野菜の色とか香りの成分がファイトケミカル。協生農法の野菜は本当に味が濃くて、人間にも抗酸化作用にもなり、色々な機能性を発揮してくれる。“第七の栄養素”とも言われている」

桐村医師は2022年、鳥取県の江府町と協定を結び、「人と地球の健康」を同時に実現するプロジェクトを始めた。江府町は人口2700人。少子高齢化と人口減少が進む町だ。

2023年5月には、プロジェクトの拠点となる公園を協生農法で“食べられる公園”に変える計画がスタートした。

この日は地元の人たちに加え、協生農法に興味を持つ人々が全国から集まった。

埼玉県からの参加者
「人が元気になっていく。みんなと一緒にやって」

地元の住民
「待ってました、という感じです」 

桐村里紗 医師
「協生農法とか、生物多様性を高めながら色々な種類のものが採れる。それを私たちが取り入れることで、腸内環境の多様性も高まる。まさに地球の土も腸の土も同時に解決できる」

同じ鳥取県の米子市には、協生農法を教育に取り入れる学校も登場した。

校庭の一角を農園にし、農薬や肥料がなくても生き物たちの協力で野菜や果物が育つ様を子どもたちは学ぶ。

ナス、オクラ、キュウリ、ニンジン。形は悪くても様々なものが採れている。

男子生徒
「思った以上に、ドっと一気に増えたりとか、一気に採れたりして、そこが面白いと思いました」

女子生徒
「一つ一つの生き物に役割があるんだなって思いました。自分たちで育てたから、美味しく感じます」 

教員
「最初は私も半信半疑でした。ただ実際に大きなキュウリが採れたり、ナスが採れたり、普通の畑で採れるようなものが採れていることに、ものすごくびっくりしました」