ほとんど耕さず、農薬も肥料も使わず、一つの畑で多様な作物を育てる、そんな試みが始まっています。日本生まれ「協生農法」の可能性を探りました。
肥料も農薬も使わない「協生農法」

鳥取県米子市。Jリーグのサッカースタジアムの敷地内で小さな畑を始めた医師がいる。

桐村里紗さん。都内の病院勤務などを経て、鳥取県へ移住。今は病気の予防を主眼に置いて様々な活動をしている。その一つが、このユニークな畑だ。
桐村里紗 医師
「鳥取砂丘のイメージあると思うのですが、ここも砂丘で砂地です。トマトがブッシュ=薮みたいになっている。これミニトマトなんですよ。ブッシュになっている方が風からも守られて、また太陽の熱からも守られて、寒い時期もできる」

この畑、同じ種類の野菜が並ぶ普通の畑とは、かなり違う。一見、草むらのようだが、よく見ると様々な野菜や果物が育っている。
桐村里紗 医師
「元々は人工芝で、草一本ない砂地だった。もう完全な砂で。だから微生物活動も昆虫活動も植物活動も全然ない。それが1年ちょっとで、こんなモリモリの緑になった」
桐村医師が取り組んだのは「協生農法」。2010年、日本で生まれた。

色々な種類の果樹や野菜を同じ畑に植える。自然に近い生態系を作り出すという。
桐村さんは、ここに100種類の種や苗を植えた。ある程度育つまでは水やりをしたが、あとはほとんど見守るだけ。肥料も農薬も使わない。