署名活動なしで被害者に寄り添う法律を…
警察庁によりますと、飲酒運転の事故件数は2000年の2万6280件をピークに年々減少。2007年以降の厳罰化をきっかけに件数は大幅に減り、去年は2167件でした。

一方で、不条理に命が奪われる事件や事故は今もなくなっていません。大分県内では時速194キロ死亡事故や大学生2人死傷ひき逃げ事件などが発生していて、佐藤さんは被害者に寄り添った法律の改正を望んでいます。
佐藤悦子さん:
「私たちは被害者・加害者をうまない社会を求めて活動してきました。それでもいまだ大きな事件が起きている。署名活動をしないと厳罰に問えないという20年前と同じ状況が続いていて心を痛めています」
「これからは署名活動をしなくても、少しでも被害者の意にそった司法のあり方が求められるし、それが私たちの一番の願いなんです」
11月17日、佐藤さんは奄美大島を訪れました。事件や事故で亡くなった人の等身大パネルや遺品を展示する「生命のメッセージ展」を開くためです。15回目の開催となる今年も現地の看護福祉専門学校の学生が手伝ってくれました。会場は学生がレイアウトや飾り付けまですべて考えてくれました。
参加した学生:
「生命のメッセージ展などを通じて少しでも被害者・加害者が減っていくように活動を続けていきたい」
佐藤悦子さん:
「息子たちのパネルをみることによって命が無駄にならない。学生さんたちの取り組みに心から感謝しています」

また、佐藤さんは毎年現場も訪れていて、1年間使ったハンカチを電柱に結び付けています。今年はピンク色。近所の人はハンカチを見るたびに、車の運転に気が引き締まるといいます。これからも世の中に命の大切さを伝えながら、隆陸さんの分まで生きていく――佐藤さんはきょうも静かに誓います。
佐藤悦子さん:
「隆陸のことを思うと、どうしていないのか。どうして消えたのか…今も身を切り裂かれる思いです。けれども、息子が『お母さん笑って生きていいんだよって。それが一番僕の願いなんだよ。今まで頑張ってくれてありがとう』って言ってくれていると思うようになりました。これからは自分らしく、子どもたちの親らしく皆さんと仲良くしてもらって生きていきたいと思う」
「なかなか自分の気持ち的に溶け込めずに、素の自分を出せなくて。だからこれからは楽しいときは楽しいよって言いながら、近所の人と楽しく過ごしたい。息子のため、家族のために加えて自分自身のための旅をこれからしていきたい」
自分のためにも生きていくと決めた佐藤さん。20年前には想像もできないほどの明るい笑顔を見せました。
