「刑務所から大統領の執務を行うことも法的には可能」

例え実刑判決が出たとしても選挙に勝てば大統領の任期中は罪に問われない。しかし、辞任後に罰を受ける可能性はある。そのため自らに恩赦を与えるのではと懸念されている。

ジョージ・メイソン大学法学部 イリヤ・ソミン教授
「自分自身を恩赦する…、歴史上例はない。もしこの問題が持ち上がれば裁判所は大統領自身が恩赦を受けることが出来るかどうかについて判断を下さなければならない…」

これは難しい問題かもしれないが、裏技はあるとソミン教授は言う。それは、大統領を一度辞任し、副大統領を大統領に指名する。そしてその新大統領に自分を恩赦させた後、副大統領になっているトランプ氏に大統領を譲るという方法だ。絶対に裏切らない副大統領を任命する必要があるが、理論的には可能な話だ。しかし、大統領に恩赦の権利があるのは連邦法に基づく犯罪だけで、州法違反の罪には通用しない。

ジョージ・メイソン大学法学部 イリヤ・ソミン教授
「つまりトランプ氏が大統領に選ばれても(州法違反での)実刑判決を受けて刑務所に服役中という可能性はある。そうなると刑務所にいながら大統領としてどのように機能出来るのかとても難しい問題が生じる。だが刑務所から大統領の執務を行うことも法的には可能だ。そのシナリオを完全に否定することはできない」

色々と理論的には可能な話はあるがどれもアクロバティックだと上智大学の前嶋教授は言う。

上智大学 前嶋和弘教授
「全部アクロバティック。大統領が自ら恩赦っていうのもアクロバティック。大統領になったら自分が連邦政府になるわけだから訴えを取り下げるというのもあるが、これもアクロバティック。その副大統領と交代するっていうのもアクロバティック。(中略)刑務所から執務っていうのも可能性はありますが、ホワイトハウスとジェイルハウスが一緒になるわけで、冗談言ってちゃいけないんですが…、こうなったらトランプ支持者が許さないですよね。“執務できないだろ”“恩赦しろ”ってね…」

明海大学 小谷哲男教授
「無罪を勝ち取るには大統領になるしかないという気持ちで、トランプ氏は選挙戦をった勝っている。それにトランプ氏の資格についてですが、最後の砦だった憲法修正14条に基づいて反乱に関わった人は公職につけないというものがあるんですが、各州で裁判を起こしていてミシガン州やミネソタ州ではトランプは立候補できるという判断が出ている。そして日本では三権分立の三権力はそれぞれ対等だという前提だが、アメリカでは『ユニタリーエグゼクティブセオリー』という行政が一番強いという考え方がレーガン時代からあって、トランプ氏はそれを徹底的にやると言っている。自分が当選したら立法司法の自分の下に置くと言っているんです」

それにしてもこれだけ難しい問題を押してもトランプ大統領の実現性が語られるというのは、バイデン大統領が支持されないことの裏返しかもしれない。実は、バイデン大統領には“どうすることもできない負債”があるという。