来年はアメリカ大統領選挙の年だ。今のところバイデン大統領とトランプ前大統領との間で争われる可能性が高い。現時点での両者の支持率は…。驚くことに最重要とされる6州の内、5つの州でトランプ氏が優勢だった。

ミシガン・ペンシルバニア・ジョージア・アリゾナで4~6ポイントのリード。ネバダ州に至っては11ポイントもトランプ氏がリードした。バイデン氏はウイスコンシン州でのみ2ポイントリードするにとどまった。

あと1年を切って、トランプ大統領返り咲きがにわかに現実味を帯びてきた。しかし、トランプ氏は現在いくつもの訴訟を抱えている。もしも裁判に負けて、選挙に勝った場合、一体どんなことが起こり得るのか読み解いた。

「有罪であっても大統領候補になってはいけないという法律は存在しない」

トランプ氏が抱える訴訟には民事訴訟もあるが、それはいわゆるトランプ氏が得意の“金で解決する問題”だ。注目したいのは刑事裁判だ。列挙すると…。

「連邦議会乱入事件」…連邦法に基づく4つの重罪…最高禁錮55年(または罰金)
「機密文書持ち出し事件」…連邦法に基づく40の重罪…最高禁錮450年(または罰金)
「不倫口止め料をめぐる事件」…ニューヨーク州法に基づく34の重罪…最高禁錮136年(または罰金)
「選挙結果介入事件」…ジョージア州法に基づく13の重罪…最高禁錮76年6か月(罰金刑は無い)

全て有罪で最高禁錮となれば700年を超える。もちろんそれは現実的なことではないが、トランプ氏の年齢からいって20年でも実刑ならば終身刑のようなものかもしれない。

パトリック・ハーラン氏
「すべての裁判が選挙前に終わるとは思えない。ということは選挙結果を見てそれに配慮した量刑なんかもあると思う。700年の可能性はゼロでしょうが、1年くらいの実刑なら可能性は50%以上ある」

確かに初公判や判決の日程と選挙スケジュールは重要な関係になるかもしれない。しかしトランプ氏が起訴されるごとにトランプ氏が有利になっていくという現象も同時に起きている。番組が作ったグラフを見てみると、起訴された瞬間、献金額が激しく上がり、支持率もそれに合わせてなる傾向があるのだ。

しかしそもそも選挙の前に有罪が確定したとしたら、そもそも大統領になれるのか…。様々な疑問が生まれる。アメリカの憲法を研究する専門家に聞いた。

ジョージ・メイソン大学法学部 イリヤ・ソミン教授
「11月の大統領選の前にトランプ氏の裁判の判決が下される可能性は非常に高い。しかし例え有罪であっても大統領候補になってはいけないという法律は存在しない。有罪判決を受け刑務所にいる重罪犯であっても候補失格とはならない。(中略)大統領に就任した後も続く裁判で有罪判決を受け、実刑となる可能性もある。そのようなことはアメリカの歴史上一度も起きたことはないが、それを妨げる法律も無い」

事実、1920年にスパイ活動法違反で10年の懲役に服していた人物が、刑務所から大統領選に立候補した例はある。結果は落選したが100万票近く獲得している。つまりトランプ氏の大統領選出馬にとりあえず支障はないようだ。さらに…。