“家さえあれば” 20歳青年の再起

あれから3か月。田中さんは居住支援を受けたのち、近所の居酒屋でアルバイトを始めた。5月からは生活保護の支給を受けずに、自立した生活を送ることができている。
田中さん
「まずバイトを頑張って、仕事に慣れていって、遠い話ですけど、25くらいまでには、ちゃんとした社会人になっておきたいですね」
記者
「お父さんへの思いは?」

田中さん
「最初、寮を出て行かされた時とかは恨んでいましたけど、ちょっと気持ちが楽になってきたら、まあまあまあ、うん。そうですね。気持ちが楽になってきたら、ちょっと『心配』というのが出てきましたね」

近況報告を受けた坂本さんは、田中さんを誘って「祝いの席」を設けた。
坂本さん
「駅まで迎えに行ったときは、ほんまもう、なあ。この世の終わりみたいな」
田中さん
「あのときは絶望しかなくて、ホンマにヤバかったです」
坂本さん
「よかった、元気になって」
居住支援をしても10人に1人は逃げ出し、また元の生活に戻ってしまう。それでも支援をやめないのは、住まいを得ることで立ち直る人が必ずいると知っているからだ。絶望し途方に暮れる人たちが前を向けるように…坂本さんが活動を続ける理由だ。

坂本さん
「人生って長いから、また同じように嫌なこともいっぱいあるだろうし、その時に誰が周りにいるかで、あの子の人生も変わってくるので、僕はそのうちの一人の人間になれたらと思います」