女子駅伝日本一を決めるクイーンズ駅伝が11月26日に、宮城県松島町をスタートし、仙台市にフィニッシュする6区間42.195kmのコースに25チームが参加して行われる。
新谷仁美(35、積水化学)や高島由香(35、資生堂)らベテラン選手が、各チームで重要な役割を果たしている。今回は森智香子(31、積水化学)と吉川侑美(33、ユニクロ)を紹介する。五輪&世界陸上の代表には届いていないが、2人とも日本トップレベルに成長してきた。2人はどういう競技人生を歩み、どういう影響をチームに与えているのだろうか。
森は1区かアンカー、吉川は5区出場が有力。それぞれの役割は?
積水化学の目標はもちろんV奪回だ。
森は今年、専門種目の3000m障害で日本選手権2位となり、7月のアジア選手権で久しぶりに日本代表入りした。10月の国体では5000mで2位、ハーフマラソンは昨年ではあるが、全日本実業団ハーフマラソンで6位となった。幅広い種目で日本トップレベルの力がある。今回のクイーンズ駅伝でも「2区以外の全ての区間」(森)を走る準備をしてきた。中でも有力なのは1区と6区。
「1区ならライバルとなる資生堂やJP日本郵政グループに大きく離されないこと。(集団の後方など)目立たない位置で粘り強く走ります。6区は、トップでタスキを受け取ったら気持ち良くフィニッシュしたいですね。前にチームがいても20秒差くらいなら逆転します!」
昨年の資生堂は高島に6区を任せた。もちろん戦うための区間配置を優先しての判断だったが、ベテランで功労者の高島にフィニッシュテープを切らせたい思いがチーム全体にあった。今年の積水化学も戦力的には、森がどの区間を走っても優勝争いをするチーム力がある。アンカーなら功労者の森に、フィニッシュテープを切ってもらいたい思いが込められるのかもしれない。
ユニクロは14年の7位が過去最高順位。だが、その後はクイーンズ駅伝に出られない年が4回、20位台が2回と、低迷が20年まで続いた。しかし戦力が充実し始めた21年は10位、昨年も10位とクイーンズエイトが見える位置に定着した。21年は吉川が3区で区間5位、昨年は5区で区間3位。ベテランが連続10位を牽引し、今年は5位を目標としている。
吉川と森は幅広い種目を走ってきたことが共通点で、1500m、5000m、10000m、ハーフマラソンの自己記録は同レベル。違いは、吉川も3000m障害を専門としていた時期もあったが、代表に届かなかったこと。そして森はマラソンまでは走っていないが、吉川は今年1月の初マラソンで2時間25分20秒と、最長距離の種目でも日本トップレベルに達したことだ。
それを象徴するように、吉川はクイーンズ駅伝の1区から6区まで、全ての区間を走った経験がある(森は1、2、5、6区の4区間)。だが積水化学ほど選手層は厚くない。吉川の出番は過去2年と同じで3区か5区に限られる。アジア選手権10000m2位の川口桃佳(25)が加入し、前回3区の平井見季(27)も5000mの記録は吉川、川口と同レベル。吉川は昨年と同じ5区出場が有力だ。
「5区は去年初めて走りました。コース的には一番キツい区間ですが、走り甲斐が感じられて一番楽しかった。目標の5位のためには、タスキをもらう位置が予想できませんが、自分の中では区間1~3位で走らないといけないと思っています」
5区には10000m日本記録保持者の新谷や、区間記録保持者で2年連続区間賞中の五島莉乃(26、資生堂)も出場する可能性がある。「攻めたレースをしたいですね。その2人にも積極的に挑戦します」。