クイーンズ駅伝に向けての取材中、高橋尚子さんから「鈴木さんの一番の得意種目は駅伝じゃないかと思うのですが、いかがですか?」という問いが発せられた。それに対して鈴木は「そうかもしれないですね。駅伝が一番の得意種目になると思います」と答えていた。
学生時代の駅伝の走りは、大東大の外園隆監督から“ケンカ走法”と名付けられた。前半から速いペースで前を追う鈴木の様子が、指導者の目には積極的を超えて攻撃的に映った。だがMGCでは勝負どころまで、その走り方を封印した。マラソンでその走り方をしたら最後まで持たない。目立たない集団の後方で「落ち着いて」(鈴木)走った。23kmで一山麻緒(26、資生堂)がペースを上げたとき、細田あい(27、エディオン)だけが付いたが、鈴木は終盤に追いつける可能性を考慮して自重した。そして終盤で細田、一山を抜き去った。「駅伝の“ケンカ走法”を活かせたと思います」という走りを、最後に出してきたのである。
初のクイーンズ駅伝でどんな“らしさ”を見せるか?
入社1年目の昨シーズンは、プリンセス駅伝5区(10.4km)で区間6位。3区・小海の区間賞で第一生命はトップを走っていたが、鈴木で2位に後退してしまった。クイーンズ駅伝は故障の影響でメンバーにも入れなかった。今回が初めて、実業団駅伝で鈴木が力を発揮する大会となる。
「3区は前半の、(ライバルチームと)バチバチのところで走る区間。前の方(上位の流れ)に行くことが大事です。MGCの“冷静かつ大胆”より、攻めの姿勢の割合を戻して自分らしい走りができたらな、と思っています。5区なら逆に、(MGCの終盤までのように)冷静になることも必要です。残り1~2kmが、どの区間も勝負だと思いますが、(5区のように)長い距離だと脚が止まると大きくペースが落ちてしまいます。チーム戦ということを冷静に考えて走って行きたい」
3区であれば学生時代のような攻撃的な走りで、前半から前のチームを追う。単独走になっている可能性もあるが、直線コースで前のチームを視界にとらえられる区間である。早めに追いつき集団になれば、競り合いを利用してペースを上げる。オーバーペース気味に入ってしまっても、マラソンの経験が粘りの走りにつながりそうだ。
5区であれば単独走になっている可能性が高い。必要以上に前半のペースを上げず、10kmの距離の中で最大限の力を発揮する。結果的にチームの順位を上げることになるだろう。マラソンを走った経験も加味した駅伝の走りになる。